公園との一体開発と、敷地内にベーカリーを誘致

デュオヒルズつくばセンチュリー

所在地:茨城県つくば市
交通:つくばエクスプレス「つくば」駅徒歩11分
総戸数:229戸
階数:14階建て
竣工:2020年11月

 

このプロジェクトは、公共空間と開発プロジェクトの空間を一体に設計したフージャースの第一号とも言えます。隣接する公園を一体にリニューアルし、塀を取り除き、敷地内には「パン工房 クーロンヌ」が運営する「Café  Boulangerie Takezono」を誘致し、公園側に開放し、そこに大きなテラスを作りました。公園には大きなマウンドと滑り台、そして芝生を植え、さらにその維持管理を街の人々と一緒に行うようにしました。敷地の周りの遊歩道との間にも塀は作りませんでした。

「パン工房 クーロンヌ」が運営する「Café Boulangerie Takezono」とテラス

このマンションは229戸、つくば駅からペデストリアンデッキを通り、徒歩11分に位置します。開発前までこの公園はジャリ公園と呼ばれ、砂利だらけの土の上を子どもたちが自転車で遊ぶ公園となっていました。
つくば市は1960年代から開発が始まり、学園都市と呼ばれ、東京の副都心として大々的な国家プロジェクトとして生まれました。あれから60年がたちました。この街のビジョンが達成されたかどうかはここでは議論しませんが、こと公園については多く建設されながらその維持管理費の予算も少なく、メンテナンスが行き届いていませんでした。このプロジェクトでは公園に隣接するという特徴を生かしながら、前よりもっと住民に使われる公園にしようと考えました。マンションに住む人だけでなく、地域住民の憩いの場になるように考えたのです。

竹園西広場公園の芝生広場(2019年撮影)
テラスの様子

公園には大きなマウンドを作り、それと一体になる滑り台を作り、広場には芝生を敷き詰めました。またこの芝生の維持管理は地域の人たちと一緒になって「つくばイクシバ!」プロジェクトという活動を組織し、市役所から手入れ道具などの補助を受けながら地域の芝愛好家と根気強くメンテナンスを続けています。公共空間を自分たちの手に取り戻すということが街との関係を作り直すことだと考えるフージャースとして、まさに格好の舞台となったのです。また個々の開発のために誘致する場所に地元のベーカリーの「パン工房クーロンヌ」が入ることで、この公園にさらに多くの人で賑わうようにもなりました。今ではこのテラスで子どもたちの遊ぶ様子を見ながらコーヒを飲んだり、おしゃべりをするママさんたちの憩いの場になっているようです。

つくばイクシバ!の活動の様子

こうした塀を作らず物件を街に開くという試みは、このつくばをきっかけにその後のマンション開発の手法の1つになっていきました。今後こうしたプロジェクトを紹介しながら「街に開く」ということを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。皆さんのご意見をお寄せください。

 

「つくばイクシバ!」の活動はこちらから