山形市七日町で地域防災イベント
「街なか まな防災」開催

いざという時にも役立つコミュニティ形成を目指して

開催日:2025年9月28日(日)
場所:山形市七日町

東日本大震災後、石巻での復興まちづくりをきっかけにフージャースは東北各地で地域再生や再開発の取組みを行ってきました。その中で、「デュオヒルズ山形七日町タワー(2021年3月竣工・144戸・20階建て)」は、フージャースにとって初めての山形での事業です。マンションだけでなく商業棟「七日町ルルタス」も併せて竣工し、グループ会社のフージャースリビングサービス(以下HLS)がそれぞれ管理させていただくなど、竣工後も深く関わっている物件です。

今回、このエリア一体で「街なか まな防災」という防災イベントを開催しました。そのイベントの様子を紹介します。

 

「スポ GOMI」から広がった輪

再開発事業そのものは、竣工引渡しを終えて一旦の区切りを迎えてはいますが、HLSはこれからもこの地域で事業をさせていただくことになります。そこで、管理会社として、マンションに住む方や商業棟のテナントさんはもちろん、地域の方々のために何かできることがあるのではないかと考え、地域コミュニティの形成のお手伝いをさせてもらおうと動き出しました。それは、東北での再開発を通して、東日本大震災の時一番必要だったのは近所の方との助け合いだったという声を多く聞き、地域コミュニティの大切さを肌で感じていたからでもあります。
実は、HLSでは今回の「街なか まな防災」の前にも、七日町エリアで「スポ GOMI」というごみ拾いイベントを開催しています。「スポ GOMI」とは、ごみ拾いにスポーツのエッセンスを加えた、日本発祥の新しいスポーツです。チームでごみを拾い、量や種類に応じたポイントを競い合います。2024年7月の1回目の開催には全15 チームが参加し、総重量37.5kg のごみを集めました。こういった活動をしていく中で、徐々に地元にも賛同していただける方が増え、2025年6月の2回目の大会は「山形まちづくり株式会社」「美しい山形・最上川フォーラム」「山形大学生協学生委員会OH,ONE!?」の3つの会社・団体が加わり、公民で協力しての開催とすることができました。この時は参加チームも倍以上に増え、全33チーム・121名の方に「スポGOMI」を楽しんでいただいています。

 

街なかに特化した防災

これらの取り組みが今回の防災イベント「街なか まな防災」の開催につながりました。本イベントの主催は、2回目の「スポ GOMI」と同じ企業・団体です。「スポ GOMI」とは別の切り口からも地域のためになることをしたいと考えて、防災イベントの開催をすることになりました。もちろん、防災への関心は地域の皆さん持たれていて、これまでにも山形市内で防災に関するイベントが開かれることもあったそうです。ただし、それらのイベントは川が溢れた時にどう逃げるかといったことに重きが置かれていて、マンションでの在宅避難など、「街なか」での防災に関するイベントはあまり開催されていませんでした。在宅避難に助け合いは必須です。マンションのディベロッパーとしても「街なか」の防災対策・意識の醸成はやらなければならない課題だと思い、「街なか」での防災に特化した今回のイベントの開催に至りました。
ただ、防災が目的とはいえ、まずは参加してもらえるように楽しいイベントにしなければなりません。そこで、「防災ヒーロー入団試験」という体験型防災アクティビティを行っている「株式会社IKUSA」に協力を依頼し、子どもから大人まで楽しく防災を学べるようなコンテンツを考えました。

 

防災をみんなで楽しく学ぶ

イベントの会場は、メインの「ほっとなる広場」と「デュオヒルズ山形七日町タワー前」、七日町ルルタスの向かいにある「七日町御殿堰」の3箇所。ブースを楽しみながら七日町の街も楽しんでもらえるよう、スタンプラリー形式でエリアを回れるようにしました。

メイン会場の「ほっとなる広場」で実施した「デンジャラスロード」では、新聞紙でスリッパを作って、凸凹の道を歩いてもらいました。この道は、素足で歩くととても痛いのですが、新聞紙スリッパを履くと痛みが軽減します。このスリッパは災害現場でも実際に使われているものです。

デュオヒルズ前では、家の中のイラストを見て、防災上の間違いを見つける「おうち安全間違い探し」を行いました。

七日町御殿堰では「防災備品選び」を実施しました。防災リュックの中には何が必要か、制限時間内にリュックの中身から避難時に持っていくべき備品を選びます。

今回のイベントは、山形市と山形県、国土交通省にも協力いただいています。山形市の協力で、「自宅の防災」と「ペット防災」の2つのテーマで防災セミナーも開催しました。ペットを飼われている方が多い一方、災害時の避難所にはペットを連れて行けないことが多いという課題があり、ペット防災は特に関心のある方も多く、講師の話を真剣に聞く姿が見られました。

国土交通省からは、40㎝浸水した時の歩行を体験できる「浸水長靴体験」を提供いただきました。40㎝の浸水でも、1足9キロの負荷がかかるそうです。

その他、地域の河川氾濫やローリングストックに関する情報の掲示も行いました。

同日にデュオヒルズ山形七日町タワーの防災訓練も開催しました。マンションの住民の方もイベントにたくさんお越しいただき、防災意識を高めることができたと感じています。
イベントは住民を含む約200名の方々に参加していただき、盛況のうちに終えることができました。参加者アンケートでは、防災に興味があったので参加したという方もいれば、イベントのことは知らなかったが通りがかりで気になったので参加しましたという方も複数いらっしゃいました。また、過去のスポGOMIの活動も知っていたという方が3割ほどおられ、私たちの地域での活動が徐々に浸透してきているように感じられました。幅広い年代の方に参加していただき、「普段できないようなさまざまな防災体験ができて、とてもためになった」「楽しく防災の知識を身につけることが出来た」というお声をいただきました。特に子ども連れのご家族が多く、「子どもと一緒に防災が学べて良かった」「子どもも親も勉強になった」という意見もいただいています。

今回、地域全体を巻き込む仕掛けの一つとして、イベント参加者に先着で、御殿堰と七日町ルルタスの協力店舗で使える割引券の配布も行いました。早速アイスを買って楽しそうに食べている参加者もいて、にぎわいづくりにもつながっている様子がうかがえました。

今後も、七日町だけでなく関わりのある様々な場所で、今回のような防災イベントやスポGOMIといったエリアを巻き込んだイベント等を開催して、地域全体でつながりの場を作っていきたいです。