社会的欲求を満たすという発想
フージャースのシニア向け分譲マンション

今回は、私たちフージャースが取り組むシニア向け分譲マンション事業について、少しご紹介します。高齢化は日本に限らず、世界共通の大きなテーマです。今後も高齢者人口が増えていくと見込まれるなかで、「安心して暮らせる住まい」をどう用意するかは、社会全体で向き合うべき課題になっています。
私たちがシニア向け分譲マンションのプロジェクトに着手したのは2012年です。住まいをつくるだけでなく、これからの暮らしそのものをどう提案するか——その問いからスタートしました。
人の欲求を説明する考え方として、よく知られているのが「マズローの欲求段階説」です。
1段階目は生理的欲求(食べたい、眠りたい)。
2段階目は安全の欲求(安心したい)。
3段階目は社会的欲求(仲間がほしい、つながりを感じたい)。
4段階目は承認欲求(認められたい)。
5段階目は自己実現欲求(なりたい自分になりたい)。
欲求は階層のように積み重なり、土台が満たされるほど次の段階へ進みやすくなる、という考え方です。
私たちが特に重視してきたのは、この3段階目の「社会的欲求」です。多くの高齢者向け施設が、1・2段階目(食事や睡眠、見守り、医療・介護の安心)を中心に整えている一方で、私たちは「安心はもちろん、その先の“つながり”をどうつくるか」を考えてきました。
そのために、たとえばラウンジを心地よく整え、自然に人が集まれる場所をつくる。イベントやサークル活動が生まれやすいようにコンシェルジュが常駐し、住民同士の橋渡し役や、活動を後押しする存在としてコミュニティづくりを支える——そうした工夫を積み重ねてきました。

こうした“つながり”は、若い世代が暮らすファミリーマンションにも大切ですが、実は高齢になるほど、より必要性が高まると私たちは考えています。4段階目、5段階目(承認や自己実現)は、それぞれが自分のペースで育てていくものです。けれど、3段階目の「仲間がいる」「居場所がある」が整うことで、次の段階へ自然と進みやすくなる——そんな場面を、私たちはこれまで何度も見てきました。
ここで大切なのは、「コミュニティをサービスとして“与える”」ことではありません。コンシェルジュの役割も、あくまで「自主的に自然に仲間をつくるための“きっかけ”や“後押し”」であること。住民の皆さんが、自分の意思で関わり方を選べる状態を守ることが、鍵だと考えています。
プロジェクト開始から年月を重ね、仲間づくりを実現している方は確実に増えました。その過程で私たちが意識してきたのは、コミュニティをひとつに固定しないことです。単一ではなく多様なつながりがあること、そして自由に出入りできる関係性であること。仲間づくりには時間がかかりますし、うまくいくことばかりではありません。ときには、築きかけたコミュニティが崩れたり、気まずい空気が生まれたりすることもあります。
だからこそ、いくつかの居場所や関係性があることで、気持ちの逃げ場ができる。そうした“余白”も含めて、暮らしとしてのコミュニティを支える必要があると感じています。もちろん、まだ改善すべき点は多く、私たちも学び続けています。
私たちの取り組みについて、皆さんはどう思いますか。