「ALL HOKKAIDO」でつくる特別な住まい
「デュオヒルズ円山表参道」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手の思いや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができないエピソードを紹介します。
フージャースのモノづくりに対するこだわりを感じていただけるかと思います。

 

北海道らしさを感じられる特別な住まい

札幌市の中心部に程近い円山は、住環境の整った高級住宅地として知られている場所です。そんな場所にふさわしく、北海道らしさを取り入れたモノづくりの工夫をしました。そのポイントを、物件担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 奥村 優充子(おくむら ゆみこ)

本プロジェクトのコンセプトは「ALL HOKKAIDO」です。寒冷地ならではの困難もありましたが、できないと諦めず、どうすればいいのかを考えてモノづくりをしました。

 



「ALL HOKKAIDO」のモノづくり

札幌市内屈指の邸宅地として知られる円山は、札幌のまちづくりが始まった歴史のある地でもあります。その地に建つ「デュオヒルズ円山表参道」は、地下鉄東西線「円山公園」駅から徒歩4分、天然原始林が広がる円山公園ヘは徒歩3分と、住環境の整ったマンションです。そんな特別な場所にふさわしい住まいにするために考えたコンセプトは「ALL HOKKAIDO」です。「White」「Woody」「Emotional」をデザインのキーワードに、「Time Less=変わらない札幌らしさ」を感じられる住まいづくりを目指しました。

 

寒冷地だからできない、で終わらせない

外観は「White」をベースに、景観に馴染むデザインにしています。北海道の雪景色の中での佇まいを考え、冷たさを感じる真っ白な色ではなく、温かみのあるベージュがかったような白を採用しました。一方で、白一色で単調にならないように、上げ裏の小段を黒くしたり、十字サッシでアクセントをつけたりしたこだわりの一つです。
上げ裏先端のディテールは特に苦労した箇所でした。デザインの段階では上げ裏の先端部に金物を取り付けることになっていましたが、防水の劣化により金物を取り付けるビスの隙間から水分がコンクリートに入ってしまった場合、寒い北海道ではその水が凍って破裂しコンクリートを傷つけてしまう場合があるため、上げ裏先端に金物を使うことができませんでした。そこで、デザインのテイストは変えずに他の素材で同じような表現ができないか、時間をかけて検討しました。最終的には上げ裏先端部に小段をつけ、そこを黒く塗ることで、その部分が金物に見えるようにしました。ただの黒い塗装ではなく、マット感のある塗装にすることでより金物感を出すよう工夫しています。白い外観の中で、黒い横のラインが良いアクセントになる外観になったと思います。

※1上げ裏:マンションなどでは、バルコニーの裏側(バルコニーの天井)や外部廊下の天井部分を指す
本件は、バルコニーの裏側(バルコニーの天井)を指す


同じく北海道の気候に合わせて変更したのがマリオンです。当初は3本のマリオンを両端でおさえる金物がアクセントになるデザインしたが、先述したようにコンクリートを傷つけてしまう恐れがあるため、最終的に、マリオンの両端に接しない形状で金物をアクセントとして設えました。金物をどうやって固定するか、雪が溜まらないためにマリンと金物の離れはどの程度の寸法が必要か等、何度も検討を重ねました。また、マリオンがバルコニーにかかる形だったため、部屋の中からの見え方も何度も確認し、細かい寸法も含めてデザイナーさんと現場とで調整しています

※2マリオン:建物の開口部に設ける垂直な部材


この地の素晴らしい眺望を味わってもらうため、上部の2層はガラス手すりにしています。部屋の中からの眺望はもちろん、外で建物を見上げたときに空と同化していくようなイメージを持たせる効果もあります。何層をガラス手すりにするのかも検討を重ねた箇所で、建物全体のバランスを何度もシミュレーションしながら上部の2層だけ決めました。

 

北海道らしさでつくるエントランス

マンションの顔となるエントランスは、黒いアクセントウォールと光が中までずっと繋がっているような造りにこだわりました。自動ドアで切れ目ができないよう、自動ドアにアクセントウォールを飲み込ませるような形にすることで連続性を出し、高級感を演出しています。

エントランスホールではさまざまな要素で北海道らしさを表現しました。

エントランスホールに置いた家具は、北海道に本社工場のあるカウディハウスのものを採用しました。カウディハウスは、北海道のさまざまな木を使い、柔らかな曲線のある家具を作っている木製家具メーカーです。スタイリッシュで高級感があり、「Woody」で木の温かみを感じられる家具は、この住まいにぴったりだと思いました。

そして、ホール正面の絵画は、北海道の画家さんの絵画を採用しています。絵を実際にエントランスホールに当てはめ、マンションのコンセプトや雰囲気に合うかどうかチェックする過程を経て、この空間にぴったりな絵画を描いていただきました。ホールに入ってまず目に飛び込んでくる絵画として、「Emotional」な北海道の情景を描いたような、ここにしかない特別なものとなっています

絵画の前ではエタノール暖炉が温かな火を出しています。通常の暖炉も考えましたが、煙を排出する経路をつくるとせっかくの絵が見えなくなってしまうため、煙の出ないエタノール暖炉を設置しました。暖炉は外から帰ってきた時に、ほっとするような温かみを感じられる空間作りに一役買っていると同時に、エントランスホールと通路を緩やかに分けるという役割も担っています。

エントランスホールの壁には、雪が積もっている様子を想起させるタイルを使用しています。雪の層が重なっているように見えるタイルを探し求めてやっと見つけた石のような窪みも表現されている美しいタイルです

 

これまでの知見を生かして

私自身は北海道の物件に携わるのは初めてでしたが、本物件に限らず北海道の物件では、内廊下が当たり前、給水給湯は水抜きが必要なため上から配管するなど、寒い地域ならではのモノづくりの前提があり、室内にも多くのこだわりポイントがあります。これまで他のプロジェクトでやってきた常識が通用しなかったり、デザイン上やりたかったことがそのままできなかったり、苦労した点も多くありましたが、フージャースとしてはこれまでに数多くの北海道の物件を手掛けてきた経験があります。それらの物件を参考にしたり、経験者に相談したり、会社としての知見を活用したことも、今回のモノづくりに繋がっています。北海道だからと諦めず、どうすればいいのかを考えた結果、お客様に魅力を感じていただける物件ができたと思っています。

 

デュオヒルズ円山表参道
https://www.hoo-sumai.com/duohills/maruyama/

所在地:北海道札幌市中央区
交通:札幌市営地下鉄東西線「円山公園」駅 徒歩4分
総戸数:30戸
階数:11階建て
竣工:2024年2月