緑とともに健やかに暮らす、シニア向け分譲マンション「デュオセーヌさいたまサウス」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手の思いや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができないエピソードを紹介します。
フージャースのモノづくりに対するこだわりを感じていただけるかと思います。

 

緑にこだわったシニア向けマンション

「デュオセーヌさいたまサウス」は、シニア向けの分譲マンションです。デュオセーヌのモノづくりのポイントを抑えながら、「緑」にもこだわりました。そのポイントを物件担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 佐藤 理貴 (さとう りき)

シニアの方が健やかに暮らせる住まいづくりを基本に、建物の外にも中にも緑を取り入れる工夫をしています。

 


暮らしにも街にも緑を

デュオセーヌは、フージャースが2013年から始めたシニア向け分譲マンション事業です。バリアフリーなど高齢者施設に取り入れられる要素を導入した上で、高齢者の方々が“欲しかった暮らし”を実現するために、独自の工夫を施しています。
デュオセーヌについては、「高齢者の欲しかった暮らしをカタチに『シニア向け分譲マンションDUO SCENEデュオセーヌ』」(2023年4月14日掲載)で紹介しています。

「デュオセーヌさいたまサウス」は、JR京浜東北線の蕨駅・西川口駅と、JR埼京線の戸田駅・戸田公園駅の中心地帯に建っています。周辺は閑静な住宅街で、駅からは少し距離がありますが、敷地内から病院などを経由して川口駅まで行くシャトルバスを運行しています。埼玉の主要都市や東京都心にもアクセスが良い場所です。本物件が建つことで街にも緑をもたらせるように「緑と暮らす」と、デュオセーヌシリーズの「住むことで健やかになるすまい」という2つのコンセプトを軸にモノづくりを行いました。

 

森のような緑

当初から緑をふんだんに取り入れることを計画し、建物の配置を工夫することで実現しています。エントランス前にできる限り引きをとり、8〜9mの高さのある植栽を複数入れることで、森と言えるくらいボリュームのある植栽帯を作りました。
その緑を最大限活かせるように、アプローチは道路から建物に向かって斜めに設けました。斜めにすることで、外から入る時に建物が見えず緑だけが見えるので、森の中に引き込まれるような感覚を得られます。風除室の目の前に緑がくるように配置しているので、建物の中から見たときも、道路ではなく緑が楽しめるようになっています。
植栽は常緑種のほかに、桜や紅葉など四季を感じられるような樹木も入れました。1階の住戸はこの緑を間近に感じられる特等席です。

また、建物の南側の一部は、戸田市が所有するオリーブ園が隣接していましたが、雑草が生え、足元のタイルはだいぶ劣化している状態でした。住民の方がそこを歩いて転ぶリスクも考えられたので、戸田市に掛け合い、本物件と同じテイストでオリーブ園も舗装することにしました。おかげでオリーブ園もマンションと一体感のある空間になり、建物の周りをより一層緑で囲むことができました。


別格感ある邸宅

デザインは、このエリアで一番のシニア向け物件となるのにふさわしい「別格感のある邸宅」を目指しました。外観はデュオセーヌシリーズのデザインコードでもある基壇部、中層部、上層部の3層構成で格調高さを出しています。基壇部は素材感のあるタイルで高級感を、中層部は2色のガラス手すりとマリオンの組み合わせでリズム感を出し、上層部は透明ガラスで軽やかな印象にしています。中層部と上層部の区切りとなる部分には大きな庇を設けました。庇を前に出してエッジを効かせることで、正面から見た時にもきれいに見えるようにしています。3層のデザインと併せて、色合いを工夫したり、細いラインを取り入れたりすることで、モダンさも感じられるデザインにしました。

アプローチを抜けると、風除室の奥のコンシェルジュカウンターが目に入ります。スタッフが常駐するデュオセーヌでは必要な設備ですが、今回は森のようなアプローチからのつながりを考えて、アートのあるメインエントランスを抜けた先の受けとして、コンシェルジュカウンターを配置しました。カウンターの台を石張りにして壁に塗装を施し、間接照明を使って魅せる壁として作り込んでいます。

蕨市には、2本の洋糸を絡ませて布を作る「双子織」という蕨市の伝統的な編み物があります。建物内には、この編物の要素とモダンさを融合させたアートをところどころに設置しました。メインエントランスの壁のほか、エレベーターホールにも階数表示と並べて飾っています。デザインの一部としてではありますが、シニアの方がパッと見て階数がわかりやすいように、階ごとにアートの色を変えました。

 

建物内でも緑を楽しむ

「緑と暮らす」というコンセプトを建物内にも取り入れるべく、ラウンジやレストランも外とのつながりを意識した作りにしています。
ラウンジは、複数人で使う空間と一人で座れる空間を作りましたが、どちらも家具を外に向かって置いているのが特徴です。それぞれの時間を楽しむと同時に、外の緑をゆったり眺めてくつろげるような空間づくりをしました。内装は木調のクロスを多用して、やわらかい雰囲気と外の緑とも相性の良い品のあるデザインに仕上げています。

サッシを開くとさらに緑や風を感じられる、開放的な作りにしました。

レストランのほうはサッシを開くと外のテラスも一体として使えるようになっています。曲線を意識した庭のデザインに合わせて、デッキのベンチも曲線状のものにしました。


シニアの方が健やかに暮らすための工夫

デュオセーヌシリーズすべてに共通することですが、シニアの方が快適に暮らせるような工夫を今回もいろいろとしています。例えば、玄関の扉を開けるなど動作を伴うところには、力を入れやすいように手すりを。玄関は靴の脱ぎ履きをする際の転倒のリスクを避けるため、必ずベンチを設けるようにしています。

洗面台は車椅子での利用も想定して、下の扉を開いたところに棚を設けずオープンな空間にしています。扉を開けば車椅子のまま水栓に近づけます。
浴室の水栓も高さを調整し、浴槽から立ち上がる際に使う手すりを設置し、浴槽のふちに凹みを設けて掴みやすくしています。
トイレも同様に手すりを付けています。併せて、便器の後ろ側に洗面台を設けると手を伸ばした際に転倒する恐れがあるので、便器の前のほうに洗面台を設けました。
どれもちょっとした工夫ですが、負荷やリスクのあるものはなるべく減らすようにし、シニアの方が快適に暮らしていただけるようなモノづくりをしています。

 

快適な暮らしにプラスして

シニアの方が健やかに暮らせることを第一に、この場所だからこそ享受できる暮らしは何かを考えてモノづくりを行いました。本物件の強みの一つが建物前に引きがとれることだったので、それをどのように生かすのかが悩んだポイントであり、工夫したところです。豊富に緑を取り入れることができ、入居者の方からも「ラウンジに座ると、豊かな緑が見えてきれいだね」という声を聞くことができました。
今後もデュオセーヌシリーズではシニアの方の快適な暮らしを基本に、その土地ならではの魅力のある住まいづくりをしていきたいと思います。

デュオセーヌさいたまサウス
https://www.duoscene.jp/warabi/

所在地:埼玉県蕨市中央
交通:JR京浜東北線「蕨」駅より徒歩21分、JR京浜東北線「西川口」駅より徒歩24分、JR埼京線「戸田」駅より徒歩21分、JR埼京線「戸田公園」駅より徒歩18分
総戸数:112戸
階数:8階建て
竣工:2025年2月