銭湯のある暮らし

IK / PIXTA(ピクスタ)

皆さんは、銭湯に行ったことがありますか?

先日のアンケートで、日々の入浴はシャワーで済まし、週に1度浴槽にお湯を溜める、もしくは浴槽を使用しない人という人が48%と約半数いました。また普段は家でシャワーだが、近くに銭湯があれば銭湯を利用したいという人が67.3%いました(いつでも行きたい7.1%、たまに行きたい60.2%の計)。

かつて風呂屋は、どこでも生活圏内にあったものですが、1980年ごろから徐々に姿を消していきました。しかしここにきて、新たな銭湯ブームも起きているようです。
今回は銭湯について考えてみたいと思います。

昨今の入浴施設は、昔ながらの銭湯もあれば、食事処が併設されていて、お風呂の種類が豊富なスーパー銭湯や、日帰り温泉、ジムのジャグジーまで、多岐に渡っています。現在入浴施設が全国で(平成27年の時点)25,703施設あります。その中でいわゆる「銭湯」は3740施設と全体の20%以下となっており、入浴施設が多様化していることが、この数字からもわかります。

銭湯とは、日常生活における保健衛生上必要な入浴のために設けられた公衆浴場であり、風呂屋、湯屋とも呼ばれています。各都道府県の条例で、施設の衛生基準や浴槽水の水質基準などが定められており、その基準をクリアできたものが、公衆浴場いわゆる「銭湯」です。
もともと江戸時代の公衆浴場は、水蒸気に満ちた部屋に入って蒸気を浴びて汗を流す、ミストサウナタイプの浴場を風呂屋と呼び、沸かした湯を浴槽に入れ、湯を身体に掛けたり、浸かったりするタイプの浴場を湯屋と呼んで区別していました(一説では、銭湯は江戸では湯屋、京都や大阪では風呂屋と呼ばれていたという説もあります)。それが、次第に湯に浸かるスタイルへと変化していきます。現在のように男女が分かれるようになったのは、明治中頃で、それまでは男女は混浴だったことも驚きです。

太平洋戦争後、本格的に都市人口が増大すると、至るところで銭湯がつくられました。1965年(昭和40年)頃の最盛期には全国で約2万3000軒を数えるようになります。
その頃は、徒歩圏に複数の銭湯あり、定休日も銭湯ごとに違い、毎日どこかの銭湯に行けるようになっていたのではないでしょうか。銭湯は、昼頃には高い煙突から煙が立ち上ぼり、夕方の早い時間帯は高齢者の憩いの場となり、夕食後の時間帯には家族連れが増え、深夜には学生など独り暮らしの方が訪れていました。家族で銭湯に行き、その日の出来事を話したり、近所の顔見知りの人と話しながらお湯につかったりすることで、大切なコミュニケーションの場となっていたことでしょう。

現在、銭湯は減少の一途をたどり、東京では昭和12年に2900軒あった銭湯も、平成29年では、約560軒にまで減少しています。それは、住宅における内風呂の普及により銭湯の必要性が減ったことが要因です。また都市に人口が集中し、内風呂を完備した集合住宅で暮らす人が増えたことも、そこに拍車をかけました。

一方、スーパー銭湯は、1990年代後半~2000年代前半にかけて増加しており2005年には2万軒を超えました。幹線道路沿いに位置し、駐車場も完備されて、入浴後に食事も済ませて帰ることができ、滞在時間は2~3時間程度。利用者は家族連れや若い世代のグループなども多いでしょう。そこは、近所の顔見知りが集まるコミュニティではなく、一種のレジャーランド化したイベントの場でもあります。

しかし昔ながらの銭湯にも、ここ数年変化が起きています。地域性を生かした経営を続けている所も増えてきました。繁華街に近い銭湯では、若者が入浴してから街に食事に行ったり、銭湯を貸しきってイベントをしたり、と街ぐるみで盛り上げているようです。銭湯でのイベントと言えば、「ゆず湯」や「しょうぶ湯」をイメージしがちですが、定休日に銭湯の灯りを落として怪談師が語る「銭湯怪談」や、ワイヤレスヘッドホンを使って浴場に設置したDJブースで音楽を楽しむ「ダンスフロア」ならぬ「ダンス風呂屋」など、ユニークなイベントも数多く行われています。
また、「風呂なしアパート」を「銭湯つきアパート」としてリブランディングして銭湯徒歩圏内の不動産を探せる「東京銭湯ふ動産」といった、銭湯が新しい家選びの軸の1つになっているサービスも出てきました。銭湯は新しいコミュニティの場として利用されたり、暮らしをつくる要素になりつつあります。

家での入浴を、たまには近くの銭湯でというのも、いいのではないでしょうか。

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