私らしく暮らす「デュオヴェール大濠公園CLASS」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。

 

単身女性が私らしく安心して暮らせるコンパクトマンション

福岡市中央区大手門、大濠公園駅より徒歩で6分に位置する「デュオヴェール大濠公園CLASS」。単身女性が多く住むことを想定して、女性が1人でも安心して暮らせるように、セキュリティ、プライバシー、プライベートを実現した本プロジェクトのこだわりを、担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 前田 彬貴(まえだ よしき)

今回は、20戸という小規模なプロジェクトだったことで、高いセキュリティ性、プライバシー性、プライベート感の創出が、デュアルエレベーターによって実現できました。住まう人が、快適に自分らしく暮らしてもらえることを考え、こだわり続けた結果です。



コンパクトマンションでも、落ち着きがありグレードを感じられる外観

コンパクトマンション「デュオヴェール」は、「私らしく羽を伸ばして暮らしてもらいたい」ということに焦点を当てた建物を提供しています。特に本プロジェクトは、総戸数20戸と小規模マンションならではのできることを考えた設計となっています。

まずは、外観です。本プロジェクトは小規模のため、よくあるバルコニーの形状だと、ただ細長い単調な建物になりがちです。そこで、飽きの来ないデザインにするため、バルコニーに凹凸を持たせて形状に変化をつけつつ、素材にも変化をつけました。
敷地が狭く、バルコニーをあまり外に大きく張り出すこともできないので、バルコニーによって凹凸を造り、左右の柱で建物を挟んでいるような縦のアクセントと飛び出した手摺ガラスで視線がのびやかに空に抜けるようなデザインに仕上げています。

エントランスアプローチは、仕事を終えて帰宅した女性たちを、温かく迎え入れるためにオフホワイトの柔らかな色合いで門型を造りました。門型は、黒い色を使って重厚感を感じさせるデザインとすることが多い中、居住者が安心と安らぎを感じられるように、デザインしています。柔らかさや素材感を出すために、木調やアースカラー系や白系の柔らかい色を使い、エントランス内からの間接照明も含めて温かい雰囲気で迎え入れられる様な門構えをアプローチとしました。
他の物件と比べて、地上二段の機械式駐車場が建物1階に配置されているため階高を高く取れたこと、またエントランス部分は右半分の1住戸分ですが、あえて2住戸分のスパンを利用して、建物の足元全体を見せることにより、住まう人を大きく受け入れる様な、ゲート感のあるデザインにしています。

アプローチで頭を悩ませたのは、門型を囲む木調の凹凸のあるスパンドレルの魅せ方です。高さが4m以上ありますが、途中で継ぎ目があるとせっかく大きく構えたい門型の見え方が途中で切れてしまい、一体で見せることができなくなります。継ぎ目のないものを特注で造ってもらい、たわみや反りにも配慮して作図、取り付けを行いました。また、凹凸のスケール感がアプローチの構えと上手くバランスがとれるように、何度もサンプルを組み合わせて見え方を検討しました。

※スパンドレル:留付けビスが隠れるように成形された金属化粧板

 

間接照明をつかって、安らぎを演出したエントランス

エントランスアプローチは、暖かみを出すために、間接照明も工夫をしています。右側のエントランスの中は暖かい光で光っています。左側のガラス面も、左右一体として大きな門型に見せるためにも柔らかく光らせることにしました。
左のガラスの裏は防災備蓄倉庫になっていますが奥行きが小さく、かつガラスは高さ3m以上もあるため、ガラス面全体にうまく光が届きません。そこで、均一に光らせるために、上下に照明をつける工夫をしました。上部の照明が高い位置に設置されるためメンテナンスを考えて、照明自体を滑車で降ろせないか、このスペースで使える脚立は無いかと模索しましたが、最終的には狭いスペースでも使える脚立を探しだすことで、メンテナンスの課題を解決することができました。
しかし、上下に照明をつけただけでは、上と下だけが強く光り、写真のように全体がきれいに光りません。そこで、全体をきれいに光らせるために、防災備蓄倉庫の壁を白く塗り、ガラス面ではなくその壁に照明の光を当てて、乱反射した光がフィルムを貼ったガラスに当たることで、このようにガラス面全体で柔らかい光を醸し出すことができるようになりました。

エントランス正面の丸いアートの後ろから光っている間接照明にも工夫をしています。居住者がエントランスホールから出てきた時に、光源が直接目に入らないように、通路の壁を少し飛び出させ、間接照明を固定する位置も少し中央寄りにずらしています。安らぎを感じて欲しいという強い思いから、この光の細部にまでこだわりました。

エントランスホールの吹き抜け空間にある間接照明にも、こだわりがあります。この空間にはあえてダウンライトなどは付けず、設置場所によって間接照明の角度を変えることで、帰ってきた人を間接照明の優しい光だけで包み込んでくれるような空間にしたかったのです。

また照明の光の角度を吹き抜け部分にある白い丸いアートに向けることで、アートが白く光って浮いているように調整しています。
この白いアートは、高さ・前後・左右の位置もランダムに設置しており、白いアート自体は照明ではないので光ってはいません。しかし、そこに間接照明で光を当てることで、どのような光を創り出してくれるか、何日もかけて検討して、エントランスのあらゆる位置から吹き抜けを見上げ、歩き、アートの位置と光のバランスを調整しました。エントランス全体のバランスを見ながら、柔らかな光の空間に作り上げていくことは本当に難しく、けれど楽しい経験でした。
これらの試行錯誤の結果、ダウンライトがなくても、間接照明だけで、明るく柔らかい光の空間を創り出しました。

また、この通路は幅が2m程とあまり広くないので、足元を見て歩くのではなく、高い吹抜けを見て高さと奥行を感じながら歩いて欲しいという思いで、吊りアートを吹抜け上部に配置し、目線が出来るだけ上に向くようにしています。そしてエレベーターホールに近づくにつれて、吹抜け上部からスポットに照らされた正面のアートにアイストップとして視線が向くように計画をしています。

 

少しでも狭さを感じさせない「ヌケ」の演出

エレベーターホール横にある坪庭にも、こだわりがあります。
本プロジェクトは、全体的にこじんまりした共用部となっています。少しでも狭さを感じさせないように、エレベーターの出入口正面に坪庭を設け、坪庭と床のレベルをフラットに近づけることで足元に広がりを持たせ、奥行きと広がりを創出しました。
特に夜は、緑が映えるように、後ろの壁を黒いボーダーのタイルにし、玉砂利も黒に統一した上でスポットライトを当るなど工夫をしています。また、地被植物は円形に、奥の方に続いていくように植え、少しでも広がりを感じられるようにしています。

この坪庭のガラスは、防火上、本来であれば網入りのガラスか、認定の取れている小さいサイズのガラスを付けることになります。でも、どうしてもこの位置のガラスを、透明で大きいガラスにして、坪庭との内外を連続さえて見せたいと思いました。
透明の大きなガラスの開口にこだわって何とかたどり着いたのが、ガラスの外側に延焼を防ぐ壁を立ててしまうことでした。写真の植栽の奥に見えているタイル張りの壁がそれですが、行政にも確認をしながら、最終的には透明なガラスを設置できるようになりました。

 

プライベート空間を生み出すデュアルエレベーター

本プロジェクトは、1フロアに2住戸構成になっており、エレベーターは自分の部屋の側の扉しか開かないようにすることで、それぞれの玄関の前に、プライベートポーチを設けることができています。

エレベーターには、乗る前に自分の部屋の鍵をかざすと、自分の部屋の階で自分の部屋側の扉しか開かない仕組みのセキュリティが組み込まれています。これは、二戸一・二方向開閉のデュアルエレベーターによって実現したセキュリティです。

今回のエレベーターによるセキュリティ実現のために、エレベーター会社、セキュリティ会社、鍵メーカー、施工会社、弊社との綿密な打ち合わせを繰り返しました。通常のエレベーターセキュリティと違う点として、緊急や災害時に対応できるシステムをどう組むか、緊急時のエレベーター操作をどうするのか、乗り合いの場合を想定してエレベーター内でも鍵をかざせるようにするには、など様々なパターンを想定して開発しました。これが本当に難しくて、関係者も初めてのことが多く、試行錯誤の結果出来た仕組みです。
鍵をかざすことで、行き先が点灯する点ではホテルのエレベーターと似ていますが、ホテルのエレベーターとの違いは、部屋ごとに対応して左右どちらかの扉しか開かないという点です。

このエレベーターは、宅配業者などがエントランスでお部屋を呼び出すと、60秒間だけそのお部屋のランプが点灯し、そのお部屋のみに行け、他のお部屋には止まらない仕組みになっています。一度に多くの宅配物がある場合、宅配業者には、一度エントランスに戻ってもらうというご迷惑をおかけすることになってしまいました。それでも、単身女性が多く住むことを考えてプライベート・セキュリティの確保を優先させたかったのです。

 

プライベート空間とセキュリティを確保するためのこだわり

エレベーターを降りると、目の前にはプライベートポーチが広がっています。これは、バルコニーと同じく、専用利用ができるポーチです。管理人も立ち入らない為、日常清掃などの管理は、入居者が行うことになっています。また、プライベートポーチに他の階の入居者が自由に出入りできないように、階段側扉にもセキュリティを掛けています。

このプライベート空間とセキュリティを確保するために、法律上の解決するべき課題がいくつもありました。
セキュリティで守られているプライベートポーチがある一方、有事の際には、消防が階段側からお部屋に入らないといけないことが発生します。そのような場合、階段側扉にセキュリティを掛けていると階段から入れない、またセキュリティを掛けないと住人が簡単に行き来できてしまうという課題がありました。
そこで、扉に小さなガラス窓を付け、非常時に消防隊員が侵入する際はそのガラスを割ることで鍵を解除できるようにして解決しました。これにより、セキュリティの高いプライベート空間を設けることができました。

この階段側の扉にセキュリティを掛けるのは、非常に難しい事です。入居者が自分の部屋の前の扉のみ自分の鍵で開けられ、他に管理人さんのマスターキーで開もけられるという、一つのシリンダに対して複数のカギで開けられる逆マスターというものです。この逆マスターのシリンダを、階段側扉全てに設置していますが、鍵メーカーにより設置数には上限がありました。50戸の物件だったらこのセキュリティは実現しませんでしたが、今回は20戸という小規模のマンションだったから、階段側の扉全てに逆マスターのシリンダを設置でき、このセキュリティとプライバシー、プライベート感が実現したのです。
ただ、このプライベートポーチ内にあるメーターボックスを、外に出せなかったことだけが心残りで、今後の課題だと思っています。

デュオヴェール大濠公園CLASSにお住まいになる方には、プライベートポーチも含め、自由な暮らし方を実現していただきたいです。皆さまそれぞれの欲しかった暮らしが実現することを願っています。

 

デュオヴェール大濠公園CLASS
※こちらの物件は完売しました

所在地:福岡県福岡市中央区大手門
交通:地下鉄空港線「大濠公園」歩6分
総戸数:20戸
階数:11階建て
竣工:2021年9月

 

 

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