時を経て味わいが増す、“経年美化”を目指した「デュオヒルズ大府ザ・マークス」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットには表現されない裏話に迫った記事です。フージャースのものづくりのこだわりを感じて頂けたらと思います。

 

末永く愛着の持てる住まい

愛知県大府市、大府駅より徒歩3分に位置する14階建ての「デュオヒルズ大府ザ・マークス」。
交通の利便性だけに頼らず、建物の内部はもちろん、外構や植栽にもこだわり、末永く愛着を持ってもらえるマンションを造りました。そのポイントを担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 石橋 瑞月(いしばし みづき)

交通の利便性は初めから高い立地でしたが、便利なだけで住まいを選べないのもまた事実。大切なのは、「その街で素敵に暮らす自分たちを想像できるか」だと私は考えます。建物の外観や外構の美しさ、豊かな緑をポイントとし、時を経ても住んでいることが誇らしく思える住まいを目指しました。

 


時が経つほど好きになる、住まいと環境

緑が少ない街、というのが初めて建設地を見たときの印象でした。敷地の周りの道は、交通量が多いにもかかわらず歩道が狭く、街路樹もなかったため、殺風景な場所に見えたのです。
3面が道路に面した角地。この辺りの地域は車社会のため、公道へのアクセスが複数確保できるのは優れたポイントですが、3方向から見られるということでもあります。ここに建つ建物が、街の景観に与える印象も少なくありません。
そのため、住む人に対しては、利便性だけでなく、ここで長く暮らしたいと思えるような住まい、街にも豊かさを与えるような環境作りをしなくてはならないと思いました。
建物のデザインも、奇をてらった建物ではなく、街に溶け込む落ち着いたデザインを意識。
良質な素材を使い、植栽を豊かにすることで、時を経るごとに味わいや愛着が増す住まい作りを心がけました。

シマネトリコを中心に、さまざまな植栽が迎えてくれるアプローチ

マンションの顔であり、住人が毎日通るアプローチは特に力を入れています。緑をふんだんに使うことで、木々のざわめきや季節の移ろいを感じられ、日々の生活に潤いを与えるような空間をつくりました。

このアプローチ部分は、計画の過程でひとつ物理的な問題がありました。マンション建設時に必須となる消防活動空地の存在です。
火事の際に、消防車等を敷地内に停める空間を設けることが条例で決められています。バルコニーの位置の関係で、当初はそれをアプローチ部分に配置するように求められました。アスファルト舗装の完全な空地としなければならないため、アプローチに何もない裸の空間を作ることになってしまいます。
快適な住まいづくりをする上で、ここは妥協できないと思い、良い折り合い点を見つけるべく、消防と協議を重ねました。

その結果、東側に消防が突入するために使うバルコニーを設けることで、アプローチから離れた北側に空地を設けることができました。これが実現しなければ、思い描いていた豊かなアプローチを作ることはできなかったので、諦めなくて良かったと思っています。

東側と南側を囲むバルコニー

計画の途中からバルコニーを新たに設置することが決まり、それにより東側もモダンな外観にすることができたので、嬉しい副産物となりました。

街を行く人にもちょっとした安らぎを与える遊歩道

交通量の多い東側の道路に面した敷地には、ゆるやかなカーブを描く自主管理歩道を設けて、開かれた空間を生み出しました。カーブによってできたスペースには、緑を植え、潤いを持たせています。
ここはマンションの住人だけでなく、街の人も通ることができる道です。少しの距離ではありますが、車道のすぐ横を歩く恐怖感を軽減させ、街の人にも緑を感じていただける空間にもなったのではないかと思います。

 

暮らしやすさを優先しつつも、緑は絶やさない

道路に面した駐車場にも植栽を

先述したアプローチを含め、本プロジェクトには至る所に植栽を植えました。ただ植栽を増やすばかりでなく、植栽の生育環境と住む人の暮らしやすさのバランスに配慮をしなければなりません。

車が生活の足となる地域のため、平置き駐車場の台数確保にも努めましたが、駐車場を設けるということは、それだけ緑が削られることにもなります。それを防ぐため、2、3台のスペース毎に植栽を植える隙間を設け、道路から見える緑のラインが途切れないよう注意しました。
他にも、植栽を植えるためのちょっとしたスペースを作るために壁の位置を調整したり、植栽に雨がかかるようにあえて屋根のない部分を作ったり、ひとつひとつ考えながら緑を配置しています。

緑を増やすうえで、管理面にも配慮しています。通常のマンションよりは多少水やりが大変かとは思いますが、自動潅水装置をつけて管理の負担を軽減。落葉樹はなるべく避け、常緑樹を基本としています。実のなる樹木なども、アクセントとして使いたいところだけに絞りました。

 

ミリ単位で考えた末の美しさ

階層ごとにつくりが異なる、美しい外観

外観については、何度も何度も図面を見て計画し、現場との打ち合わせも繰り返し行いました。その結果、建築的な美しさを左右する凹凸がうまく作れた建物になったと自負しています。私が考える建築的な美しさとは、異なる部材同士の、違和感のない繋ぎ合わせです。建物が出来上がったあとからもよく気になってしまう箇所なのですが、今回は完成後も納得の仕上がりとなりました。

中低層部は落ち着いた重厚感のあるデザインに、高層部は白を基調として伸びやかさを表現しました。
さらに低層部の1、2階と3階以上では縦のラインとして目を引くマリオン※1 の作りも変えています。このマリオンと、3階の床部分の横ラインとなるスラブ※2 の交わりをえぐった形にすることで、スラブのエッジを際立たせ、水平のラインを引き立たせました。(写真内①)

スラブ自体も真ん中を凹ませた形に削り、洗練された印象を持たせています。スラブの幅を何センチにするか、何センチ削れるのか、10ミリ単位で現場と相談しながら決めたこだわりの箇所です。

中下層部はこのスラブの横ラインが際立つようにしましたが、高層部は縦ラインのマリオンを目立たせるようにしています。マリオンは華奢に見える白を使い、それを目立たせるようにスラブの下側のみ削ったり、スラブの下面の色を変えたり、細かいところまで工夫しました。(写真内②)
こうした細部の作り込みが、均整のとれた外観を生み、建物全体の心地よい美しさにつながったと思います。

※1マリオン:建物の開口部に設ける垂直な部材
※2スラブ:マンションの床を支える板状のコンクリート


外から中へ、すっと誘い込まれるように

豊かな外観の雰囲気を建物内に入っても感じられるよう、エントランスの作りにも気を使いました。
外側の庇(ひさし)と同じ高さの天井にして、外との一体感を演出。開放感のあるガラス貼りの壁や、外側の柱を鏡貼りにすることで、ゆったりとした空間にしています。

アプローチのグレーと白を基調とした地面は、そのままドアの先まで続いている

同じように足元の工夫もしています。アプローチの自然石の地面をエントランスの中まで伸ばし、逆にエントランスの床も外の車寄せの歩道部分まで伸ばすことで、連続性を感じさせるつくりにしました。

エントラスからエレベーターホールまでの動線もポイントです。エントランスを抜けた先に坪庭を設けています。ちょっとしたスペースではありますが、高低差のある植栽を配置し、景色を楽しめるような美しい庭をつくりました。
エレベーターホールに行くには、この坪庭の前を必ず通ることになります。建物に入った際のアイストップになると共に、日常的に緑を眺めたり、直に緑に触れたりする機会を作ることで、ホッと安らぎを与える空間を作りたかったのです。

いろは紅葉がパッと目につく坪庭

ここに植えたいろは紅葉は、何本かある中から迷って決めた、こだわりの1本です。光に照らされた時の樹形が印象的なものを選びました。自分で選んだものがうまく空間にマッチしてくれたので嬉しいですね。季節によって変わる紅葉の姿からも、時間の流れを感じていただければと思います。

 

足元まで気を抜くことなく

自然石で仕上げた、エントランス前の車路

本プロジェクトは至る所に気を配って作り込んでおり、作り手として気を抜けるところがありませんでした。通常なら建物の裏側はアスファルト舗装にしてしまうことが多いのですが、道路に面するところの多い本プロジェクトでそれをしてしまうと、美しい建物と釣り合わなくなってしまいます。そのため、敷地全体に目を配り、舗装も作り込むことにしました。
車の通る部分も例外でなく、駐車場には正方形のインターロッキングを組み合わせ、車寄せの部分には自然石を使っています。風合いが良い自然石を使うことで、建物と調和し、敷地全体の印象も崩れません。
アプローチの足元も自然石です。同じ石でも仕上げの違いで部分的に色味や風合いを変え、味のある舗装にしています。エントランスの床まで続く部分は、石をランダムに組み合わせました。ランダム感が難しいと現場の方を悩ませてしまい、何度も図面を書き直して対応していただいた力作です。

 

その時々の最善を考える

ライフスタイルの変化に合わせて、用途を変えられるクロゼット

フージャースでは、お客様の「欲しかった暮らし」を叶える住まいづくりをしています。その視点から、ひとつ私が考えて工夫したところがあります。暮らしていくなかで部屋の形は変えられなくとも、少しでも可変性のある部分を作りたいと思い、弊社の布団が収納できる「お布団クロゼット」に手を加えました。
クロゼット内の固定棚を通常よりも低くして、机としても使える高さにしています。また、固定棚の手前側を削り、扉を閉めても隙間があくようにしています。これにより、背もたれのある椅子も、そのまま収納できます。ちょっとした作業台や書斎としても使っていただけたらいなと考えました。すべての部屋に設けたわけではありませんが、お客様から良い反応もいただけたので、提案して良かったなと思っています。

この計画時期にちょうど新型コロナウイルスが流行り始め、在宅勤務に注目が集まり始めたことも影響しています。
お客様の暮らしを一番に考えながら、こうしたその時々の新しい価値観にも応えられる柔軟な発想を持って、これからも住まいづくりをしていきたいと思っています。

 

デュオヒルズ大府ザ・マークス
※こちらの物件は完売しました

所在地:愛知県大府市中央町
交通:JR東海道本線「大府」歩3分
総戸数:47戸
階数:14階建て
竣工:2022年7月