街中の、緑感じる静かなる邸宅「デュオヒルズ八戸ザ レジデンス」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。

 

街中の雰囲気とは一線を画す住まい

青森県八戸市の中心街に位置する「デュオヒルズ八戸ザ レジデンス」。賑わいのある街中という立地を長所としながら、落ち着いた雰囲気のマンションを目指しました。そのポイントを担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 田中 雅(たなか みやび)

本プロジェクトでは、子どもが巣立ったご夫婦が、戸建からの住み替えに購入されることを想定しました。コンセプトは「端正に、奥深く」。
全体的に落ち着いた大人向けのデザインを心掛けています。私が特にこだわったのは、アプローチと車寄せ、ラウンジです。



街から静かな邸宅へ続く、緑豊かな道

縦長の土地を生かし、敷地前の道路からエントランスまで長いアプローチを設けました。およそ28mの長さがあるため、街の喧騒から離れて静けさを生み出すことができ、高いプライバシー性も確保されます。

この長いアプローチを緑豊かな空間にすることに力を入れました。
それにあたって懸念されたのが八戸の気候です。この辺りは寒冷地のため、周辺の建物にも植栽があまり見られませんでした。寒い環境でも育つ植物となると、その種類も限られてしまいます。限りがあるとはいえ、同じような樹木ばかりの単調な道にはしたくなかったので、できる限り多くの種類の樹木を植えたいと思いました。道自体もただの直線ではなく、何箇所かクランクさせてリズムをつけています。

植栽を植えるにあたってもう一つ課題となったのが、アプローチ脇にある塀の基礎との兼ね合いです。今回土地の都合上、建物より先に敷地周りの塀などを作ったため、その地中にある基礎が障害となって計画通りに植栽を植えられないところが出てしまいました。

どちらの課題も最終的には現場で試行錯誤することで解決しています。
土を盛るなどして基礎と調整したり、植える樹種や本数もその場で増やしたり、出来上がりを確認しながら何度もやり直しました。現場の方には苦労をかけてしまいましたが、そのおかげで思っていた通りの緑豊かなアプローチを作ることができました。
内覧会の際には、出来上がりを喜ぶ居住者の方の声を聞くことができました。緑の少ない土地に登場したこのアプローチは、近隣の方の目も引くような特別な空間になっているようです。

 

偶然を必然のデザインに

車寄せは、ホテルのような上質な空間を目指して作りました。
当初想定していたイメージ画では、大きな庇が1枚、建物に向かって突き刺さっているようなシンプルなデザインでした。しかし、建物の構造上、車寄せの位置に太い梁が出てしまうことが途中で判明。思い描いたすっきりとしたデザインを妨げるものとなるため、梁を目立たせないようなデザインに変更しなければなりませんでした。
外側に突き出している庇の部分も、この地域の積雪を考えるともっと厚みを持たせねばならず、こちらも併せて考え直しです。

大庇は十分な厚みを持たせながら、側面に溝を入れることでシャープな印象を持たせることにしました。これだけだと車寄せの奥にある風除室との連続性が無くなってしまうため、風除室の天井と繋がっているように見える小庇を大庇の下に設けています。この小庇と梁の高さを調整し、梁の存在を感じさせないデザインに仕上げることにしました。

梁が無いように見せるデザインを考えるのは大変でしたが、結果的により洗練された雰囲気の車寄せができたと思っています。

 

自然を感じる時を過ごす

ラウンジはその位置と広さを考えると、ただの通路として使われてしまうのではないかと懸念されました。せっかくの空間を通るだけの場所にしては勿体ないです。座ってゆったりと寛げる空間にしたいと思いました。
そんな空間作りのために、ラウンジはアプローチの豊かな植栽を内部にまで取り込むように作りました。
中からも緑を存分に感じられるように、外と中の繋がりを持たせています。ラウンジの壁とベンチ、ベンチ下の照明を中と外で同じように作り、あたかも繋がっているようにデザインしました。
壁には、八戸鉱山の地層をモチーフにした玄武岩を使用し、自然の雄大さも感じていただけるようにしました。4種類の石の磨き方や凹凸の付け方なども細かくこだわったところです。
壁際のオブジェもこのイメージに合わせて、1本の木から削り出したものを置いています。

ラウンジの大きな窓からは、シンボルツリーの紅葉が植えられた坪庭も眺めることができます。当初、坪庭の後ろにはもっと高さのある壁を設置する予定でしたが、アプローチの緑を感じることができなくなってしまうため低い壁に変更しました。
ここで注意したことであり苦戦したのが、ラウンジで過ごす方とアプローチを歩く方の目線です。壁が低すぎると双方の視線がぶつかってしまいます。ラウンジに座った時を想定して、外の人との視線は合わず、植栽は感じられる壁の高さを検討しました。高さだけでなく、視線が気にならない程度に壁にスリットを入れ、より植栽を感じられるようにしています。

 

その土地の暮らしに寄り添って

戸建からマンションへの住み替えをされる方を考えたとき、不便にならないようにすることはもちろん、マンション暮らしだからこその利点も存分に享受して欲しいと思いました。
寒冷地のプロジェクトでは定番ですが、敷地内の通路には路面凍結を防ぐロードヒーティングを採用し、雪かきの負担を無くしています。
居室内の暖房器具を考える際には、八戸の暮らしのことは八戸の方に聞くのが一番と思い、現地の家電量販店やタクシー運転手に話を伺いました。現地の戸建てで暮らす方は、エアコンとガスストーブを併用して冬を過ごしているとわかったため、ファンコンベクターを全戸に設置することに決めました。
その土地の暮らしに寄り添い、そこで暮らす方の欲しかった暮らしの提案をすることが大切だと思っています。

本プロジェクトは、寒冷地という気候条件による制限と、計画後にいろいろな変更点が生じたモノづくりでした。どれも悩ませられたところでしたが、試行錯誤した末に良いものを作ることができたと思います。
何かしらの制約や変更は、どのプロジェクトにもつきものです。その中でいかにより良いものを作るか頭を悩ませ、時には現場で動きながら、今後も住む人のことを第一に考えたモノづくりをしていきます。

 

デュオヒルズ八戸ザ レジデンス

所在地:青森県八戸大字番町
交通:JR八戸線「本八戸」駅 徒歩12分
総戸数:66戸
階数:14階建て
竣工:2022年8月