暮らしを楽しくするためのコミュニティ

【連載】コミュニティについて vol.03

photo: 川原涼太郎

今回は連載3回目です。1回目は「安心して暮らすためのコミュニティ」、2回目は小さな助け合いを通して「居心地の良い暮らしのためのコミュニティ」について書きました。今回は、暮らしをもっと楽しむため(暮らしにハリをつくるため)のコミュニティについて考えてみましょう。
わかりやすい例は自分の好きなこと、同じ趣味を持つ人のサークル活動に参加するとか、習い事をするとか、または教室などを主催して誰かに自分の得意なことを教えるという人もいるでしょう。陶芸をしたり、山に登ったり、ダンスをしたりと同じ趣味を持つ人との交流は楽しいものです。多くの人はこうした趣味をもつことで、日々の暮らしに「ハリ」や「生きがい」を感じるものです。
しかし、この趣味の中でもさらに人のために何かをするということで、よりハリのある暮らしができそうです。誰かの役に立つことで、人に喜んでもらえると、そのことが自分自身の励みになっていくのです。これは時にボランティアや奉仕活動と呼ばれるものと近いかもしれません。前回事例で紹介した「子ども食堂」はボランティアとも言えるのですが、一方でそのことで自分の生きがいや存在意義を確認するような活動とも言えます。さらにその仲間とつくるコミュニティは、強い連帯感ももっています。

事例1: 株式会社グランドレベル
田中元子さんの「ふるまいコーヒー」

「ふるまいコーヒー」を始めると、「何をしているの?」と街の人たちが興味をもって話しかけに来てくれる。

(株)グランドレベルの代表の田中元子さんが行う「ふるまいコーヒー」という活動を紹介します。これは田中さんが休みの日にコーヒー屋台をひいて、公園や空地などで道行く人にコーヒーを振る舞うというものです。田中さんは、この活動を「趣味です」ときっぱり言います。気が向いた時に、旅行や好きな本を読むのと同じように、屋台を引いてコーヒーを振るまい、人と話をするのが楽しいと言います。人が喜んでくれる顔を見るのがとても楽しいのだそうです。人に何かをしてあげることで、自分も楽しくなっていく。そこに自分と社会の接点を感じていくことができるのでしょう。この活動のポイントは無料であること。ビジネスでないことで生まれる人とのつながりが重要そうです。

株式会社グランドレベル
http://glevel.jp/index.html

事例2: 認定NPO法人 グリーンバード “KEEP CLEAN, KEEP GREEN.”の街そうじ

ごみ拾い大作戦@つくばの活動から。小さな子どもから大人まで、和気あいあいとそうじをします。

グリーンバードは、2003年に原宿表参道でスタートした街のそうじ活動です。この活動は自分の街を自分たちで清掃をするということ、街を綺麗にしていこうという運動です。さらに、この活動を通して地域内での仲間を広げていくこともできます。開始から16年、今では日本全国にグリーンバードは広がっています。活動を通して今まで気づかなかった自分の住む、または働く街を知っていくことにもなりますし、今までなかったつながりを作ることにも役立ちそうです。活動は月に2回。決して多くはない活動です。しかし、自分たちの住む街に意識を向けることに大きく貢献しています。そして、そこで知り合う仲間が広がることで、同じ価値観をもつ仲間との繋がりを作っています。掃除の日の出会いは、特に若者の地域間でのネットワークの広がりをつくっています。こうした活動による繋がりは、信頼できる仲間づくりになるのでしょう。同じような価値観の人に知り合い、また刺激し合うことが楽しみにもなっています。

認定NPO法人 グリーンバード
http://www.greenbird.jp/

いかがでしたでしょうか。
3回目は「暮らしを楽しくするためのコミュニティ」というテーマでした。紹介した活動は、ボランティアともいえる活動ですが、そうした社会的な意義を超えて自分自身が生きがいをもって楽しんで暮らしていくための活動ともいえそうです。誰かのために、何かをすることで一番楽しくなるのは自分自身なのかもしれません。みなさんはどのように思いますか。ご意見お寄せください。

ミニアンケート

グリーンバードの活動を聞いたことはありますか

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

Loading ... Loading ...