都市型に初挑戦!シニア向け分譲マンション
「デュオセーヌ江古田の森公園」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。

 

都市型のシニア向けマンション

DUO SCENE(デュオセーヌ)江古田の森公園は、その立地とコロナ禍という状況により、これまでのデュオセーヌの物件とは異なるモノづくりをしなければなりませんでした。限られた空間や条件の中、いかにシニアの皆さんに必要なものを揃え、快適な暮らしを提供できるか、工夫を凝らしたポイントを担当者が語ります。

建築担当者の紹介
建築本部 宮部 貴寛(みやべ たかひろ)

デュオセーヌ江古田の森公園は、都心でのデュオセーヌの在り方を考えた物件です。郊外の大規模物件に負けない魅力ある住まいとなるように、さまざまな取り組みを考えました。

 



共用部の在りかたと地域とのつながり方

デュオセーヌは、フージャースが2013年から始めたシニア向け分譲マンション事業です。バリアフリーなど高齢者施設に取り入れられる要素を導入した上で、高齢者の方々が“欲しかった暮らし”を実現するために、独自の工夫を施しています。

デュオセーヌについては、「高齢者の欲しかった暮らしをカタチに『シニア向け分譲マンションDUO SCENEデュオセーヌ』」(2023年4月14日掲載)で紹介しています。

多彩な共有部がデュオセーヌの特徴の一つですが、それは郊外の広い土地に建つ物件だからこそできたことでもあります。今回のデュオセーヌ江古田の森公園は都心にあり、これまでの物件より土地が狭いため、デュオセーヌの全ての要素を同じように取り入れることはできませんでした。そこで、シニアの方の暮らしのために本当に必要なものは何か、どんなモノづくりをするのかをチームで考えに考えました。
結果として、今までのデュオセーヌには付き物だった大浴場を外すことにしました。今回想定したお客様は80代の方です。年齢だけで一括りにすることはできませんが、一般的に足腰の具合や体調が優れない時も多い年代であることから、大浴場が必須ではないと判断しました。

デュオセーヌの強みの一つでもあった大浴場が無くとも、住みたいと思われる、住んで良かったと思ってもらえる魅力ある物件にしなければなりません。そのためにやりたかったことは大きく2つありました。一つは都市型の共有部作りとコロナ禍への対応を同時に叶えるマンションにすること、もう一つは地域とのつながりを持たせることです。

 

あえて仕切らないラウンジ

郊外にあるデュオセーヌの共有部は、囲碁やビリヤードなどシニアの皆さんの趣味や娯楽を楽しむ専用の部屋をそれぞれ設けています。本物件でもそれらを全て詰め込んで縮小した形にすることも可能でしたがそうはせず、ラウンジを広く取ってオープンな空間にすることにしました。あえて仕切りを設けず、家具の配置や床の張り分けで空間をゆるやかに分ける方法を取っています。
そのお手本にしたのが、当時流行っていたライフスタイルホテルです。ホテルを何件も見に行って、どのような家具のレイアウトをすれば空間を分けたり、場所の意味づけができたりするのか考え続けました。それに伴い、既存のデュオセーヌの入居者の趣味や暮らしぶり、形成されているコミュニティを調べ、どんな空間作りをすればいいのか決めることができました。

ラウンジを大きく2つに分け、一方を音楽鑑賞や談笑など音の出る動的な趣味、もう一方を読書や手芸など静的な趣味のゾーンになるようにしています。
目的の異なる利用者それぞれが居心地の良い場所を見つけられると同時に、お互いの趣味を垣間見ることもでき、自然とコミュニケーションが取れるような適度な距離感のある空間作りに努めました。

ラウンジとレストランは、扉を開放すれば行き来ができるような設計になっています。



江古田の森公園を感じる屋上テラス

デュオセーヌではシニアの方に健やかな生活を送ってもらうため、日常的に身体を動かす仕組みや設備を整えています。その役割の一端を担うのが、軽い運動やサークル活動ができる多目的室です。今回の物件にも設けていますが、コロナ禍では換気の制限があったり、人数の制限があったりしたため、思うように活用できないことが予想されました。その代わりとなる空間、外に出ずとも外気の中でいつでも身体を動かせる空間を作ろうと考え、屋上テラスを設けました。開放感あふれる空間で気軽に身体を動かしたり、日光浴をしたり、ベンチでくつろいだりすることができます。
屋上テラスを作った目的はほかにもあります。マンションの近くには広大な江古田の森公園があり、徒歩で行くことも可能です。しかし、入居者の中には歩いてそこへ行くことが困難な方もいます。そんな方にもこの場所に住んで良かったと思ってもらえるように、江古田の森公園がよく見える位置に屋上テラスを設け、公園の豊かな自然を身近に感じていただけるようにしました。

 

地域とWin-Winな関係作り

地域とのつながりを考えるとき大事にしたのは、居住者と地域の方とがお互いにWin-Winな関係を作ることです。お金を払って外から人を呼び、単発のイベントを催すのは簡単で、よくある方法でもあります。しかし、その方法では長く続けることはできません。地域の方と程よい距離感で継続的につながれる方法がないか考えました。

地元農家とWin-Win

練馬大根が有名なこの地には農家が多くあるため、ラウンジの外にあるガーデンでマルシェを開いてもらうことを考えました。単発の開催はできたとしても、定期的な開催となると、農家の方に無理をしてやっていただくことになりかねません。そこで農家の方にも利点があるように、マンション内のレストラン事業者と提携してもらい、レストランに定期的に練馬野菜を提供してもらえるようにしました。そのつながりの中で、年に数回はマルシェをしていただくようにしています。
ガーデンもマルシェの実施を考えた作りにしました。マンションの庭といえば植栽を豊富に植えるのが一般的ですが、本物件では植栽を控えめにし、足元には芝を敷いて、マルシェを開催しやすいようにしています。また、地域の方も使えるような動線も考え、外部の方にもマルシェを訪れていただけるように計画しました。

音楽イベントでもWin-Win

ラウンジにはグランドピアノを置き、30人くらい入るようなレイアウトにして、定期的に音楽イベントを開催しています。演奏するのは近くの音楽大学の学生やその卒業生たちによるボランティアです。マルシェと同様に、音楽イベントもお金を払って演奏者を単発で呼ぶ形にはしたくありませんでした。ボランティアの方々は、入居者の方々に喜んで欲しいという気持ちはもちろんあるものの、自分たちの発表の場も欲しいという想いがありました。聴く側は楽しく、そして演奏する側もやりたいと思ってやっていることなので、長く続けられるはずです。

 

場所や広さが変わっても、入居者の方の快適な暮らしを考えてモノづくりをすることに変わりはありません。デュオセーヌ江古田の森公園で、シニアの皆さんの欲しかった暮らしが実現できることを願っています。

 

デュオセーヌ江古田の森公園
※こちらの物件は完売しました

所在地:東京都練馬区豊玉中一丁目
交通:西武池袋線・西武有楽町線・都営大江戸線「練馬」駅まで徒歩17分、都営大江戸線「新江古田」駅まで徒歩14分
総戸数:84戸
階数:6階建て
竣工:2022年8月

 

・デュオセーヌの詳しい情報
「シニア分譲マンション」DUO SCENE