【結果】移住に関するアンケート（1）

欲しかった暮らしラボでは、移住をテーマに研究を進めています。今回は第一弾のアンケート結果の報告です。

現在住んでいる都市の環境から、地方で自然の中で暮らしたいと考える人が増えています。地方移住や二拠点居住の増加には様々な背景が存在します。まず、コロナ禍による仕事の場所選びの変化が挙げられます。次に、自然の摂理に寄り添い、生命力を学ぶことが地方移住者の中で重視されているなどです。

しかし、その希望や目的は人それぞれです。そこで、地方に住みたいという方々の意見をお聞きしたくアンケートを実施することになりました。今回は、移住に関心のある方のみアンケートに回答いただきました。

今回のアンケートで、移住のタイミングは「定年退職後の移住」が51.3%と半数を超え、次いで「一人暮らしをするタイミング」20%、「転職するタイミング」18.7%、「子どもが独立するタイミング」15.3%と続きます。「定年退職後の移住」を人生の新たな章の始まりと見なす傾向が強く出ていました。また、転職を契機とする移住については、年齢別に見てみると20代では50％と、若い人の方が転職を機に移住を考えていますが、実際に仕事をしだすとなかなか転職ができないというのもあるのでしょう。

移住後の仕事については、「新たな就職先を探す」40.7%と最も多く、「すでにリタイヤしているので特に仕事の必要はない」18.7%、「農業や林業、漁業などに従事したい」が18.0%でした。
現在の仕事は、「地方でもできる」32.0%、「かなりの部分ができる」19.3%で、地方や遠隔でも仕事ができる人が半数を超えており、柔軟な働き方に対するニーズが高まっているようです。

移住のエリアを選択する際に重要視する要素については、「治安・安全性」53.3%、「医療環境の充実」45.3%、「自然環境」41.3%、「バスや電車など公共交通機関の便」40.0%が、4割を超えています。安定した生活環境を求める人が多いと見受けられます。
年代別にみると、20代は「地域コミュニティの活気」57.1％、40代は「住宅価格」48.8％、60代では「治安・安全性」61.3％が、高くなっています。

地方に住みたい理由は、「時間の流れがゆっくりとした中で過ごしたい」72.5%で最も多く、「その土地ならではの食べ物を楽しみたい」38.3%、「レジャー、釣りやサーフィン、スキーなどを楽しみたい」24.2%でした。
また、地域とのつながりを作りたいと考えている人が、80.7%と8割を超えており、移住先でののんびりとした時間の流れや地域社会とのつながりを重視し、自己実現や趣味の追求に積極的な姿勢が見られました。
地方に移住する理由として、コロナの影響も今回のアンケートでは見えています。コロナで会社に出社しなくても済むようになったので生活の拠点を地方に移したいと思う人が、30.7%と一定の割合を示し、移住先の安全性や生活環境への関心が高まっている様子も伺えました。

「将来のために今から準備したい」への共感度を問う質問では、今から準備したいと思う人が71.3%。思わないが4.0%でした。
また、「都心で働く意義が見つからない」への共感度では、そう思う人が36.0%。思わない人が26.0%。
将来への不安を感じながらも、今からの準備や行動を考える人が多く、移住を将来の安定や豊かな生活の一環と捉えている傾向も見られました。

今回のアンケートから、移住を考える人々の動機や関心事は多岐に渡り、定年後や転職を契機に移住を検討する人が増加していることがわかりました。また若い世代では、現在の仕事に対する疑問や不満が移住への動機につながっている可能性があります。将来の不安やコロナ禍の影響も移住の意思決定に影響を与えており、安定した生活環境や豊かな暮らしを求めるニーズも高まっていそうです。
移住についての商品開発は、移住者の多様なニーズに応えつつ、地域社会との連携を強化し、移住先で安心して充実した生活を送れる環境を整えることが重要になるでしょう。しかしこうした移住へのニーズは始まったばかりでもあり、一方では移住は理想とも捉えられ、実際には行動に移すには様々な不安も入り混じっているようにも思えます。
次回は、もう少し年齢別の違いにフォーカスして分析をしてみたいと思います。少なくても30代、40代の働き盛りの人の中にある潜在意識の掘り起こしが重要な鍵になりそうです。