続自分だけの間取り | 欲しかった暮らしラボ

前回、「自分だけの間取り」（2021年7月9日掲載）では、日々目にする間取りが良く似ているのは、作り手が間取りを考える際に、使いやすさや暮らしやすさに加え、これまでの暮らしの価値観から習慣化している考え方があることを書きました。それは、「部屋数重視」「居室面積重視」「畳数重視」「対面カウンターキッチン重視」などで、これらの要素を取り入れてバランスの良い間取りとなっているため、多くの間取りが似てしまうということでした。
そんな背景がある中で、住まう人の「こんな暮らしがしたい」という憧れを叶えるために、部屋数重視という考え方に縛られない「仕切りのない間取り」「衣装部屋のある間取り」という2つのプランを紹介しました。

今回は、「対面カウンターキッチン重視」という考え方に縛られず、部屋数重視と対面カウンターキッチン重視から脱却し、キッチンを中心に自分だけの間取りを考えたプランを紹介します。

廊下にギャラリーのある間取り

廊下にギャラリーのあるプランです。
キッチンはリビングに向いて対面にするのではなく、廊下のディスプレイを眺める様に配置しています。飾られているお気に入りの作品や器・グラスを眺めながら、キッチンでの時間を楽しむことができるのではないでしょうか。
廊下にとっておきのコレクションや作品を収納しつつディスプレイできる廊下ギャラリーを設けたことで、廊下を生活空間の一部に取り込んでいます。
また、室内は広がりを重視した一体空間になっていますが、ベッドルームは収納棚によって、ゆるく仕切られています。クロゼットには扉がなく、お気に入りの洋服をディスプレイする様に収納することができます。廊下ギャラリーと同様に、自分の好きなもの愛でる暮らしを提案しています。

ワイドなワークデスクのある間取り

キッチンを挟んでワークスペースとプライベート空間を分けたプランです。
廊下とキッチンの通路を兼ねたことで、キッチン裏にワイドなワークスペースと収納を確保できました。ワークスペースは独立性が高く、自宅でも仕事モードへの切り替えがしやすい空間となっています。
来客時に、キッチンを通り抜けてリビングへ向かうことに、多少抵抗があるかもしれませんが、来客の頻度を考えると、許容範囲ではないかと考えました。
また、キッチンの壁で室内をゆるく領域分けし、リビングや廊下への動線もよく、キッチンを中心に室内を回遊できるようになっています。

３ｍのキッチンがある間取り

キッチンを壁に付けて設置したプランです。
42㎡の１LDKの場合、一般的には1.6~2.0ｍの対面キッチンが設置されていますが、このプランではキッチンを壁に付けたことで、十分な調理のスペースを確保した3mのキッチンを設けることができました。また、壁に向か合って立つことで料理にも集中でき、正面の窓からは差し込む光や風を感じられます。食品のストックができるパントリーも設置してあり、料理好きにはうれしいキッチンです。
そして、キッチンを壁に付けたことで、バルコニーで育てたハーブを料理に使ったり、分別したゴミを外に仮置きしたりと、バルコニーへの動線も良くなります。

キッチンを見せない間取り

キッチン空間をリビングから隠したプランです。
分譲マンションの主流は、対面カウンターキッチンです。炊事をしながら家族と会話ができたり、子どもに目が届いたりというメリットがあります。一方、生活感を隠しきれない現実もあります。
このプランでは、クローズドキッチンを採用し、キッチンが見えないことで生活感を見せないようにしました。また、リビングに設けた大型のマルチクロゼットに、雑多な物を全て収納することで、室内をすっきりした空間として保つことができます。リビングから生活感を隠すことで、落ちつきや居心地の良さを得らえれるようにしました。

習慣化している考え方を少し変えてみることで、住まう人の「こんな暮らしがしたい」という憧れが叶う間取りができることを、2回にわたって紹介しました。自分の拘りの視点で間取りを見たときに、具体的な暮らしのイメージが湧く間取りはありましたか。
今後も、バランスの良い間取りに加えて、自由な発想で個性的な間取りを提供していきたいと思います。

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