欲しかった暮らしラボ
自分だけの間取り
チラシやWebに掲載されている住宅の間取り図を見ながら、家具の配置や暮らし方を想像することは、誰もが経験したことがあると思います。それは、間取り図に自分の生活を投影しイメージを膨らませて、ワクワクする瞬間でもあります。もし、見たことのない間取りを発見したら、一層好奇心が刺激され、想像も広がるのではないでしょうか。このようにワクワクしてもらうことは、私たち住まいの作り手にとっては、大変うれしいことです。
しかし、日々目にする間取りは、どれもよく似ています。それは、作り手が間取りを考える際に、使いやすさや暮らしやすさに加え、これまでの暮らしの価値観から習慣化している考え方があるからです。
それは、同じ専有面積であれば2LDKより3LDK、3LDKより4LDKと部屋を多く設けたいという「部屋数重視」。限られた専有面積の中では、廊下や水回りよりも居室の面積を優先させたいという「居室面積重視」。5.8畳よりは6.0畳と、見栄えの良い畳数にしたいという「畳数重視」などがあります。また、分譲マンションのキッチンは、対面型のカウンターキッチンが主流となっています。これは住まい手に人気があり使いやすため、対面カウンターキッチンを重視しているとも言えます。
よく見かける間取りは、これらの要素を取り入れたバランスの良い間取りとなっているため、多くの間取りが似てしまうのです。最近では一般的になりましたが、自宅をリノベーションした部屋は、住まい手の暮らしの価値観を反映させた唯一無二のものなので独創的で人気があります。新築マンションにも、そんな個性的な空間が欲しいという声もあります。
フージャースでは「欲しかった暮らしラボ」のアンケートを通して、住まい手のリアルな暮らしを紐解くことを行っています。
例えば、一人暮らしのおしゃれな生活シーンとして、人を招いてホームパーティをしている様子を思い描くことがあります。しかし、家に人を招く頻度を単身者にアンケートをした結果、「極稀に」38.9%、「基本人を招かない」26.5%（「【結果】単身者の暮らしについて（前編）」2020年1月31日掲載より）となっており、6割強の人は家に人を招いていないことがわかりました。
私たちは、このような調査を繰り返し、習慣化している考え方に縛られず、素敵な暮らしができるプランを考えています。今回は、部屋数重視から脱却した間取りを紹介します。
仕切りのない間取り
部屋数重視から脱却した、スタジオタイプのプランです。
室内に壁がなく、開放的で広さを実感できるワンルームで、間仕切りのない大空間を、住まう方の感性で家具を自由にレイアウトすることが可能です。
リビングと寝室の間を壁で仕切らず、床の段差と家具で領域を分けています。小上がりに設けられた就寝スペースは、その周りを一段高いカウンターデスクで囲み、リビングからも見えにくい空間となっています。
この例は、段差と家具で就寝スペースの領域を分けています。他にもこの広い空間を、照明の照度を変えて光による領域分けをしたり、衝立で緩やかに目隠しをしたり、家具の配置などで、自分だけの心地よい居心地を作り出すことができます。
衣装部屋のある間取り
部屋数重視から脱却して、1LDK＋衣裳部屋としたプランです。
例えば、41㎡あれば2LDKのプランが一般的ですが、一部屋は収納部屋になってしまっていることも良くあると思います。思い切ってその部屋を、最初から衣裳部屋にもなる大型ウォークインクロゼットにしました。海外ドラマ「SEX and THE City」に出てくるキャリーのクロゼットのような衣裳部屋をイメージして、お気に入りのバックや靴をディスプレイしたり、メイクやトータルコーディネイトを楽しんだりと、クロゼットのなかでもワクワクした時間を過ごせるように、設えています。
この一部屋分のクロゼットには、今使わないものや大型の荷物、季節家電なども全て収納できます。これにより、モデルルームのようなスッキリした暮らしが実現できます。
このように部屋数重視から脱却することで、新たな発想が生まれます。定番の間取りに暮らしを合わせるのではなく、住まう人の「こんな暮らしがしたい」という憧れが叶う間取りを考えていきたいと思います。みなさんも「一枚板の大きなダイニングテーブルを置きたい」「お気に入りのソファーを中心に間取りを考えたい」「好きなものに囲まれて暮らしたい」「家での在宅ワークを快適にしたい」など拘りの視点で、自分だけの間取りを探してみてはいかがでしょうか。
次回は、定番のキッチンから脱却した間取りを紹介します。
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