出会いのきっかけを作る庭

―「デュオヒルズ南町田THE GARDEN」のランドスケープ

(2019年撮影)

人が見ている風景の中に居場所を作る」(5月27日掲載)では、「デュオヒルズ南町田THE GARDEN」のランドスケープデザイナー、熊谷玄さんにお話を聞きました。
この物件のコンセプトは、『円と縁の園』。『開くことで繋がる縁・オープンなガーデンの園・角がなく閉じない円』です。提供公園※の「アリーナガーデン」と、道路から自分の家に入るまでには「エントランスガーデン」や中庭の「サークルガーデン」があります。


※提供公園とは、大規模なマンションなどで、居住者だけでなく周辺住民にも開放され、自由に使えるようになっている公園のこと。もともとはマンションの敷地の一部であり、それを市町村などの自治体に「提供」することからこう呼ばれる。
マンションからエントランスガーデンと提供公園のアリーナガーデンを望む(2019年撮影)

熊谷さんは「エントランス前で子どもが遊ぶ風景が日常となり、居住者だけでなく、前を通りかかった子どもも一緒に遊んでいる様な、一瞬・一時、そこに立ち寄れるような場所にしたい」という思いから、マンションの共用部と公園に一体感が感じられるようなランドプランとして、街に開くことにしました。そうすることで、新しい『縁』が生まれ、『いつも公園で遊んでいるあの子は、うちの子と同じ年ぐらいかな』と気になり、なんとなく声を掛けて、自然と関係性ができていくデザインを目指したと言います。

そのお話を受けて、実際に住んでいる方に、マンションの共用部分と公園の利用について、アンケートを実施しました。(回答数42件/総戸数177戸)

提供公園のアリーナガーデン(2019年撮影)

それぞれのガーデンに対して、購入時より魅力を感じている人は「アリーナガーデン」59.5%、「エントランスガーデン」40.5%、「サークルガーデン」57.1%でしたが、住んだ後の感想をうかがうと、気に入っていると回答した人は、「アリーナガーデン」78.6%、「エントランスガーデン」73.8%、「サークルガーデン」64.3%と、増えています。

親子で最もよく利用するガーデンを聞いたところ、67.7%の人が「アリーナガーデン」と回答しています。利用する時間帯は、「休日の日中」52.6%、「平日の夕方」31.6%、「平日の日中」26.3%でした。利用する目的は、「子どもと遊ぶ」73.7%、「マンション内の子ども同士の交流」31.6%となっており、休日の日中に子どもを遊ばせる場所として、アリーナガーデンは賑わっているようです。

また、「ガーデンの利用をきっかけに知り合い、その後も一緒に遊ぶ親子はいますか」という質問では、「2~5組いる」21.1%、「6~10組いる」10.5%と、ガーデンで遊ぶことで知り合いになり、いくつかのコミュニティができているようです。

「現在マンション内で交流している人は、何をきっかけに知り合いましたか」という質問では、「マンションの共用部分を利用して」35.7%という回答が最も多く、「子どもの幼稚園や小学校などのPTA 」23.8%より、多い結果となっています。

共用部分をきっかけに、住人の交流が生まれていることは、大変うれしい結果です。
交流が生まれたきっかけとしては、「子どもの年齢が近そうだから、声を掛けた」「通りかかった際に声を掛けた」などがありました。
一方、各ガーデンを一人で利用している人は、少ない結果となりました。一人で利用されている人の目的は、散歩や休憩、軽い運動となっています。

これらの結果から、熊谷さんのこだわられていた「動線上にガーデンを設けることで日常的に使ってもらいたい」「いつも遊んでいるあの子はうちの子とおなじぐらいかなと自然に交流が進む」という狙いが、子どものいる世帯では実現していることがわかりました。

また、「フージャスのコミュニティイベントで、同じテーブルや近くテーブルだったので知り合った」という声もあり、入居時のコミュニティイベントで顔を合わせた人が、その後共用部分で再会して、交流を深めています。コミュニティイベントがあることで、話しかけるきっかけになっているのでしょう。
共用部分やランドスケープデザインと、コミュニティイベントの双方が、この物件でのコミュニティ形成の一翼を担っていると言えそうです。