緑のある暮らし

―「心の時代」の暮らし方

marumaru / PIXTA(ピクスタ)

今回のコロナの問題や戦争、環境問題の深刻化により、世界はどうあるべきであり、人類はその中でどう生きるのかが求められています。このことは、経済成長の連続を追い求めてきた現代社会において、私たちにとって一番の幸せは金銭的な豊かさではなくて、一人ひとりの心の豊かさである、と改めて気づいたタイミングでもありました。

現代社会は約300年前の産業革命から始まります。産業革命以降、より合理的な機能を追求した「工業化社会」が続き、20世紀末には半導体の発達により「情報化社会」へと入ります。そして今、情報化社会を経て、私たちは新たな時代へと突入しています。それが「心の時代」です。
私たちは、工業化社会において物質的な豊かさを手にいれました。一方で、物質的な豊かさには限界があり、エネルギー、資源、食料、人権などのさまざまな問題が未解決のまま取り残されることになりました。新たな時代では、こうした負の遺産がテクノロジーによって解決され、効率や生産性を追い求める工業社会的な価値観から、人間としての生きていく喜びを追求する、精神的な豊かさを求める価値観が高まる、つまりは「心の豊かさ」に重きを置いた社会「心の時代」へと移行を始めています。

では、心の豊かさとは何なのでしょうか?それは、目に見えない力の存在に敬意を払うということです。つまり、他の人の幸せが自分の幸せであると感じることです。他者への思いやり、自然への敬意、動物への愛情、そうした全てのものが地球生命体の中で1つのつながりを持っていると感じることに心の豊かさがあります。

振り返ってみると、こうした他者や自然との繋がりや思いやりは、太鼓の昔、まだ人類が言葉や文字を持たなかった狩猟時代からあったと言われています。それはきっと、人間が自然のリズムの中で暮らしていたが故に、日々五感を研ぎ澄ませ、現代の私たちでは読み取ることができない生命の動きを読み取っていたからかもしれません。
その意味でも五感を研ぎ澄ませて、自然と触れ合うことは、私たちの新しい時代「心の時代」への大きなヒントになるように思うのです。

私たちフージャースは、もう一度その視点から自然を考えてみたいと思い、「心の時代」における「緑のある暮らし」を考えていくことにしました。心の時代だから、ベランダで自然を楽しむ。土に触れ、土の中の虫の息遣いを感じる。石に触れて、悠久の歴史を感じる…など、暮らしを通した自然とのあり方を提案していきたいと思います。また、このプロジェクトを通して私たちは、多くの人と交流したいと考えて、知見者の方々にもインタビューを開始しました。ひいては、それが人の幸せにつながるように、構想を広げてみることも始めたいと思います。