外部廊下に緑があふれる家

KWphoto / PIXTA(ピクスタ)

今回は、南向き住戸ではなく、東西に抜けた住戸の緑の楽しみ方を考えてみたいと思います。

この方位の場合、西側が入り口となり、午前中は直接の日差しは入りませんが、午後から夕方にかけては、外部廊下に光が差し込み、緑を育ててくれます。特に玄関アプローチを演出することで、マンションの外部廊下から、いきなり家の玄関を入る無機質な雰囲気をなくせればと考えました。
今回は以下の2つの間取りを考えてみました。

 

①アルコーブのある家

この間取りは、マンションの柱の位置や外部廊下の幅は変えずに、壁の位置をずらすことで玄関に広めのアルコーブを設けました。こうすることで、戸建のように自邸の玄関前に植栽を施し、美しく演出している点がポイントです。
廊下を歩いた際には、それぞれの住戸の植物が色鮮やかに目を楽しませてくれて、住民同士の会話のきっかけにもなりそうです。
また、北側の寝室の窓は防犯対策として、窓に格子を入れることがよくあります。しかし、昨今のマンションのセキュリティを考えれば不要とも言えそうです。今回の間取りでは、この窓を床部分まである掃き出し窓にして格子を無くし、外部廊下からの見た目も向上させました。植栽を窓の前に置けば目隠しにもなり、寝室の様子が見えることはありません。

室内は、あえてリビングをキッチンと離して、リビングを少し静かな居場所として考えてみました。それに対してキッチンは、L字型のキッチンを配置して、ダイニングにいる家族とコミュニケーションを楽しみながら食事の準備ができるようになっています。

※アルコーブ:部屋や廊下にある壁面の一部を後退させて、くぼみを作った部分のことをいいます。玄関前のポーチのこと


②縁台で緑を楽しむ家

この間取りは、玄関の脇に人が腰掛けたり、植物を置ける縁台を設けました。縁台に座って植物の手入れをしたり、お気に入りの植物を並べることで、居住者同士の会話のきっかけになりそうです。

また、各住戸の前には植栽帯を作りました。ここは入居者が自由に花や野菜、ハーブなど好きなものを植えられる、いわば自分専用の庭です。
植栽帯をそれぞれが自由に育てられる反面、植栽帯を使わないご家庭がいたり、落ち葉などの管理の問題が出てくることが予想されます。お隣さんが不在の時には代わりに水をあげる、使わない植栽帯は使いたい人たちで共有して使う、落ち葉があれば通りかかった人が拾う。それぞれが楽しくなるような、そして負担にならないやさしいルールを自分たちで作ることで解決できるでしょう。そうしたルールを考えることも、コミュニティの醸成につながります。

またこの間取りでは、日差しが少ない東側にリビングとダイニングを配置することで、夏は涼しく過ごすことができ、東西に縦断していることで風通しもよく、気密性が高いマンションでも、風の動きを感じられるプランになっています。

 

通常、廊下側に寝室を置くことが多いのですが、今回はあえて、玄関に土間空間を広く取り、玄関先のアルコーブや縁台でも緑を楽しめるようにしました。植物を楽しむことを通して、自宅を華やかに演出したり、周囲とコミュニケーションを育むきっかけになりそうです。
見た目にも美しい住宅は、住まい手のリテラシーにも繋がり、その後もさらに美しい姿へと成長していくはずです。

外部廊下に緑があふれる家は、いかができたでしょうか?皆さんは、どのように思いますか?ぜひ、感想を教えてください。

 

ミニアンケート

図面① アルコーブのある家に住んでみたいですか。

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

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図面② 縁台で緑を楽しむ家に住んでみたいですか。

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