リタイヤしたあとのことを考える

photo: Miki Chishaki

みなさんは高齢とは何歳からだと思いますか。これは簡単には答えられない設問です。もう歳だからという言葉を使う人もいますが、内心はまだまだ自分は元気だと思っているのが普通の人です。現在の平均寿命はすでに80歳を超えていますので定年の60歳はまだまだ元気な歳と言えるでしょう。それはどこから高齢という境界線があるわけではないでしょう。とはいえ、企業で働いていた人にはリタイヤという区切りがあります。この時に多くの人は高齢ということを意識するでしょう。

リタイヤ

通常の会社員の定年は60歳、雇用延長をしての65歳です。多くの人は自分の人生を振り返る機会になるでしょう。まだまだ元気な時期です。たとえ雇用延長したとしても今までと同じ会社にいながら役職を離れた時にはさみしい気持ちになる人も多いでしょう。いっそのこと今までのキャリアをいかしてどこかで新しい仕事についてみたいと思う人もいますが、なかなか簡単ではないかもしれません。
以前行ったアンケートではお金も必要だけれど社会の役に立つような仕事をしたいという人がとても多かったようです(*1)。働きづくめで駆け抜けてきた40年近い歳月のあとの生き方として、まったく違う生き方として誰かのために自分の力をつかって貢献したいと思うのかもしれません。自分のアイデンティティや生き甲斐を探していきたいとも思うでしょう。

*1 高齢についてのアンケートの結果参考

□何歳から高齢だとおもいますか。

70歳が37.16%、65歳が29.05%、60歳が4.73%、70歳以上から高齢だと思う人が64.87%で半数以上いた。

□あなたの今の仕事のリタイヤは何歳ですか。

60歳が35.14%、65歳が30.41%、70歳が11.49%、リタイアしないが10.81%いた。60歳以下のリタイヤは41.22%いた。

□会社をリタイヤした後は、どのように過ごしたいですか?(複数回答)

ゆっくり過ごしたいが30%、趣味を楽しみたいが28%、出来る限り働きたい24%、ボランティアのような仕事をしたい16%だった。

□回答した仕事は収入を得る仕事ですか

はいが58.11%、どちらともいえないが31.76%、いいえが10.14%。

□収入があると回答した人がその仕事で得る収入

50万円未満が18.92%、50万円以上-100万円未満, 100万円以上-300万円未満が31.76%、300万円以上-500万円未満が13.51%と300万円未満が77.7%、100万円未満が32.4%だった。

□ボランティアのような誰かの役にたつ仕事の時間をもちたいですか。

とても思うが8.11%、思うが40.54%、約半数の人が仕事ではなくてもそうした時間をもちたいと思っています。

起業をしてみる

具体的にどんな仕事をしたら幸せになっていくでしょうか。3つのシナリオを考えて見ました。一つ目は起業をするという方法です。自分のスキルにあったもので、前職の経験を生かして独立するのは、収入のことを度外視すればそんなに難しくなく、かなりの人ができるかもしれません。誰かに雇用されるのでなく自分自身の考えで仕事をするのは楽しいですし、自由です。またクライアントと専門分野で関わっていくことで自分のアイデンティティを保っていくこともできるでしょう。幸せの大きな要素として「自分らしく生きる」というのがよく言われます。自分で決めて自分で行動をするということで人はより幸せを感じていくはずです。

ボランティア(社会貢献)を仕事にする。

具体的にどんな仕事をしたら幸せになっていくでしょうか。2つ目は先のアンケートで多くの人が答えているようにボランティや社会的な活動をするというのもあります。もし経済面での問題がなければやりがいを活動の中心に求めていくことは、新しい価値観をもてるようになるかもしれません。(先のアンケートでも300万以下の収入で良いと答えた人が77%もいました。こうしたボランティアのような仕事は現役時代には考えたことがあっても、時間がなくできなかった人も多いでしょう。このボランティアという方法は、収益とやりがいをどう一致させるかは大事なポイントになりそうです。ただし「人のために」活動することで多くの人から感謝もされるでしょう。

旅に出る

もうひとつ3つめの方法が、こうした節目の時に長い旅に出るという方法です。学生の時にバックパッカーを経験した人もいるかもしれませんが、そのように1年ぐらいの長い旅に出るのはどうでしょうか。そのあとの暮らしが不安かもしれませんが、旅は新しい出会いやその後の人生計画を考えるのによい機会となるでしょう。普通の人はなかなかリタイヤした後の次のしごとや暮らしについて明確な計画がある人の方が少ないでしょう。旅に出ることで自分と対話をする時間を十分にもてる機会にもなりますし、いままで知らなかった世界に遭遇することでまったくそれまで考えたことのないような発想や気づきがもてるかもしれません。かつて若い時にバックパッカーで世界を旅した人はその時のカルチャーショックを覚えていることでしょう。学生から社会人になる前に、世界に触れてみる旅、そして今再び長い仕事を勤め上げたあとの人生のリセットのための旅です。きっと多くの気づきを得ることになるように思います。

これまでずっと守ってきた価値観や常識と思っていたことが、広い世界の中ではかならずしもそうではないと思うことにも遭遇するでしょう。若い時とは違って、ある年齢になったからこそ理解できることがたくさんあるでしょう。

いかがでしょうか。起業をする、ボランティアをする、旅に出る、3つの選択肢を考えてみました。

みなさんはどのように思いますか。他の方法やご意見などをお寄せください。