住まいとともに、街の未来もつくる「ミッドライズタワー多治見」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。

 

多治見のシンボルをつくる

岐阜県多治見市のJR多治見駅前は、この地の新たな玄関口として大規模な再開発事業が進められています。その再開発事業の一環として、多治見駅の南側に誕生する新街区の一角を担うのが、「ミッドライズタワー多治見」です。通常の物件とは異なる再開発ならではのモノづくりについて、担当者が語ります。

建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 堀 芳行(ほり よしゆき)

大規模な再開発の一旦を担う本プロジェクトは、約10年という長い年月をかけて完成しました。駅からペデストリアンデッキ(高架型の歩道)でつながり、29階建てという高さを誇るこの物件は、街の景観にも未来にも大きな影響を与えるプロジェクトです。多治見の街の顔にふさわしい、街に調和しながらも、住んでいる人が誇らしく思えることを心がけた住まいづくりをしました。

 



再開発は長く複雑な道のり

一般的なマンションは長くても3年ほどで完成しますが、今回は再開発に絡むプロジェクトのため、10年ほどの期間がかかりました。規模の大きさに加え、フージャースだけで決定できない事柄があったり、手続きや確認に必要な手順が多くあったり、そういった通常とは異なる労力もかかりました。

そうした中で苦労したのは、再開発組合の事業収支などから、計画の途中で当初の予定より100戸程度住戸を増やさねばならなくなったことです。それに合わせて階数も増やす必要があり、一からプランを練り直さなければなりませんでした。自社の意図だけで進めることができないのが、再開発ゆえの大変さでもあります。ただ一つのマンションを作るということだけではなく、まちづくりの一端を担う重要なモノづくりだと感じさせられました。
多くの会社や人が関わる再開発事業ですが、建物の形状やデザインなど、モノづくり自体にはフージャースとしてのこだわりを多く盛り込むことができています。

 

街の産業を活かした街の顔作り

デザインのキーワードは“住まいの器”です。
岐阜県といえば美濃焼が有名で、多治見の街でも至る所で陶器やタイルの販売・製造をしているところが見られます。街のシンボルとなるこの建物には、そんな地域の特徴的な産業を取り入れたいと思いました。

まず外観は、全体的に丸みを帯びた形にしています。マンション=多くの人を受け入れる器とイメージし、四方のバルコニーを曲線にしてぐるりと一周させました。多治見にこの高さ・規模のマンションはほかにないので、高層マンションの威圧感を軽減させるという意図もあります。
落ち着きのある上品な色合いは、美濃焼の一種である瀬戸黒という艶のある黒い焼き物をイメージしました。バルコニーの曲線部分の手すりもそのイメージから黒い透明なガラスにしています。そのほかの部分もバルコニーは全てガラスの手すりで、真ん中は半透明、上層の3階だけ全面透明にしています。

上の3層ではより眺望が楽しめるのはもちろん、街のどこからも見えるこの建物の上層というプレミアム感も出しています。

共有部には何箇所か地元産のタイルを取り入れました。例えば吹き抜けになっているエントランスホールの上部には、多治見産の六角形タイルをブラインドのようにあしらっています。煌びやかでありながら、落ち着きのある上質な空間を作り出しています。

 

憧れの住まいでの暮らし

エントランスホールを含め、共有部は多治見を象徴する一番の物件と誇れるような高級感を出しながらもシンプルに、ポイントを絞って作り込みをしています。

右が駅とつながるペデストリアンデッキ

メインのアプローチは、1階から2階まで吹き抜けにするダイナミックなつくりにしました。ここを抜けるとペデストリアンデッキの下となる風除室、その先に前述したエントランスホールが続きます。アプローチからエントランスホールまで、規模が大きく、開放的で立体感のある造りで、ステイタスを感じられる空間を作れたと思っています。

車寄せの壁は高さ約3mもある一枚ものの大きなタイルと、木目調のコンクリート打ちっぱなしの素材を組み合わせました。目指したのは、華美すぎない、品格のある車寄せです。

オーナーズラウンジは、集会室としての機能を持たせることが前提ですが、住人を迎える心地よい空間になるよう、デザインや家具の配置をしています。外を眺められるベンチをおいたり、テーブルには対面で座っても視線が気にならないように植栽を入れたり、カフェのようにいろいろな人がそれぞれの居場所を見つけて時を過ごせるような空間にしました。

 

夏のお楽しみを優雅に味わう特権

マンションのデッキは、駅に隣接する駐車場にもつながっています。この駐車場には、住民の方の駐車場と一般の方向けのコインパーキングが一緒に入っているのですが、出入り口のレーンを住民と一般向けで分けることにしました。

この住民専用レーンが一番力を発揮するのが、毎年夏に行われる多治見市制記念花火大会の日です。ここ数年はコロナの影響で中止となっていますが、近くの川が打ち上げ場所となっており、大会の日は例年多くの人で賑わいます。駅の駐車場も行列を成すほど混み合いますが、住民の方はその混雑を避けて駐車することが可能です。ちょっとしたことではありますが、このマンションに住んでいるという特別感を味わえる瞬間の一つではないかと思います。
マンションの3階くらいでも見晴らしがいいので、十分花火を見ることができ、最上階であれば花火を見下ろすという特別な景色を見られます。屋上にあるデッキも花火の際には開放されるので、最上階にお住まいの方以外も夏の風物詩を特等席で楽しんでいただけるはずです。

 

再開発

冒頭でも述べたように、再開発に関わる事業は長い年月を要します。正直なところ、先が長いので本当にできるのかと思いながらやっている時も少なからずありましたが、それだけの期間をかけるべきプロジェクトに関わっているのだという使命感もありました。
ミッドライズタワー多治見は、このエリアで唯一とも言える超高層マンションであり、この先も街のシンボルとして長く残る建物です。そこに住む人の住まいを作るというだけでなく、街の未来作りにも関わらせていただいたと思っています。

フージャースは欲しかった暮らしを実現するために、こだわりを持ってものづくりをしています。それはマンションでも戸建でも、再開発に関わる事業でも変わりません。フージャースではこのほかにも再開発に関わる事業に多く携わっていますので、また紹介させていただきます。

 

ミッドライズタワー多治見
※こちらの物件は完売しました

所在地:岐阜県多治見市本町
交通:JR中央本線「多治見」駅より徒歩2分
総戸数:225戸
階数:29階建て
竣工:2022年12月