パークヨガで心と身体を整える

【公園のある暮らしインタビュー vol.2】ヨガインストラクター 酒井有貴子さん

201911から、公園の楽しみ方のひとつの提案として、ヨガインストラクターの酒井有貴子さんと一緒に、芝生の上でヨガをする「パークヨガ」を始めました(20207月現在、新型コロナウイルスの拡大に伴い、休止中)。今回は、理学療法士の資格も持つ酒井さんに、ヨガの魅力について伺いました。
2021年より「パークヨガ」は、「シバフYOGA」に名称を変更し再開しています。

フラダンス留学からヨガの道へ

酒井さんがヨガを始めたのは今から約6年前のこと。当時住んでいた沖縄県の宮古島でヨガを始めたそうです。
幼少期から様々なスポーツを経験してきた酒井さんは、自身が身体を痛めたことをきっかけに理学療法士となり、その後、宮古島の病院に勤めます。当時、熱中していたフラダンスのために、体幹を強化する目的でヨガを始めました。地元のフラダンスチームで活動に励み、「もっと本場でフラダンスを学びたい」と、20代も後半に差し掛かったタイミングでハワイへの留学を決めます。
そこから2年間、ハワイでフラダンスの修行を積んだ酒井さんでしたが、帰国を目前に、ヨガインストラクターを志すきっかけとなる出会いがありました。それは、ハワイ在住でヨガスタジオOHANA SPACE HAWAIIを経営するご夫婦との出会いでした。
「帰国が迫り、日本で理学療法士としての仕事を再開すると考えた時、以前と変わらず患者さんに対症療法しかできないことを考えると、理学療法士を続けることに迷いが出てきたんです。日本で病院に勤務していた際、もっと早くから自分で自分の身体をケアしていれば、こんなに病気が進行することはなかったのにと思う患者さんが多くいました。身体が悪くなったら通院して、治療のために薬を増やし、それでも治らなければ入院する。もっと自分の身体や心に向き合ってくれる人が増えたらと常々思っていました」と酒井さんは言います。この悩みをご夫婦に相談したところ、ヨガをもっと深く学び、理学療法士の知識も生かしたインストラクターになることを勧められたのです。こうして、酒井さんはヨガの道に進むことを決めます。
しかし、すでに2年のフラダンス留学は終盤を迎え、資金は底をついていました。そこで、ヨガのための資金を用意するために日本に帰国し、1年間理学療法士として働いた後、酒井さんは再びハワイを訪れます。そして前述のOHANA SPACE HAWAIIにて、ヨガのインストラクター資格である全米ヨガアライアンスRYT200を修了しました。酒井さんは、晴れてヨガインストラクターとなりました。

ヨガを通して実感した「身体の健康」と「心の健康」

日本にいた時も、身体の健康のためにとヨガをしていた酒井さん。しかし、ハワイで現地のスタジオに行くと、ヨガで心のサポートも出来ることを知ります。理学療法士として身体へのサポートしかできないことに疑問を感じていた酒井さんにとって、これは大きな発見でもありました。
「私自身ヨガを始めるまでは、身体の巡りがとにかく悪くて、身体に溜め込んでしまう体質でした。身体のサイクルが止まってしまうと、肌が荒れるだけでなく、気分まで落ち込んでしまって…身体と心がつながっていることを実感しました。でも、ヨガを始めたところ、身体が巡りはじめ、気分が落ちることも少なくなったんです」。
ヨガを始めることで、身体の信号をキャッチ出来るようになっただけでなく、体質が改善され病気の予防にもつながり、すぐに病院に行くこともなくなっていったと酒井さんは言います。そして心の健康についても、このように話します。
「常にポジティブでいられるとか、心の状態を治していくというよりは、ヨガをすることで、心が穏やかでいられる状態や環境を、自然と選べるようになりました。交感神経と副交感神経が、ゆるやかに交換できるようになったというか」。ヨガを通して、自分の身体の変化に自分で気づけるようになり、自分の心の変化にも自分で対処できるようになったことが、酒井さんにとって大きな変化だったようです。

公園でヨガをすること

酒井さんは帰国後、2019年から茨城県牛久やつくばを中心にヨガレッスンを開催してきました。そして、2019年11月からは竹園西広場公園にてパークヨガを行っています。このパークヨガは、ハワイにいたときから行っていたそうで、自然の中で感じる音や光、風、土や草木の香りによって、自然と開放的になれるといいます。昨今の新型コロナウイルスの拡大で、改めて公園が注目されていることもあり、適度な距離を持ちながら、その場の雰囲気を共有できるパークヨガは、今の時代に適しているともいえそうです。
酒井さんのヨガの特徴は、初心者でも出来て、自分とゆったりと向き合えるメディテーションヨガであること。また、理学療法士の経験から、その人の体形や骨格を踏まえたレクチャーができる点にあります。
「生徒さんを見ていると、毎日頑張りすぎている人が多い印象を受けます。私のクラスを受けた生徒さんの中には『この時間だけは、余計なことを考えなくていい』、『自分に合わせて進めてくれるので、周りを気にせずリラックスできた』とコメントをくださる方もいます。ヨガは、繊細なところまで意識を向けて、深い呼吸で心と身体を整えていきます。そうしていくと、身体が緩まって解放されて、自然と涙が出てくることも。レッスンは少人数で、個人に合わせたペースでゆったりと進めるので、芝生の感触や匂いを楽しみながら、無理なく自分を解放できる時間にしたいと思います」と、にこやかに話してくれました。
現在パークヨガは、新型コロナウイルスの拡大のため活動を休止していますが、また近いうちに、安全な形で再開できるよう準備を整えているそうです。芝生の上で、ゆっくりと心と身体の声を聞く贅沢な時間を、一度体験してみてはいかがでしょうか。

酒井 有貴子(さかい ゆきこ)Instagram
理学療法士ヨガインストラクター
幼少期からさまざまなスポーツを経験。 自分が身体を痛めたことをきっかけに理学療法士となる。 約7年間の病院勤務を経て「病院や薬に頼った解決法だけでなく、もっと自分自身の変化に自分で気づけるようになりナチュラルなもので対応できることを広めたい。」と思いヨガとエッセンシャルオイルを学び始める。 ハワイ・オアフ島のOHANA SPACE HAWAIIにて全米ヨガアライアンスRYT200、マタニティヨガRPYT85修了。 日本にて月経血コントロールヨガ指導者養成講座修了。 現在はup Tsukubaでの朝ヨガクラスをはじめ、茨城県牛久、つくばを中心にクラスを開催中。