まちと向き合い人とつながる
パンと芝生とコミュニティ

【つくば官民連携プロジェクト vol.2】

ペデストリアンデッキからつながるCafé Boulangerie Takezono(2020年11月撮影)

前回は、「つくば中心市街地竹園1丁目 公務員宿舎跡地開発プロジェクト」のはじまりからを振り返りました。「つくば官民連携プロジェクトストーリー vol.1」(2021年1月22日掲載)
今回は、覚書を締結し連携して取り組んできたつくば市の五十嵐立青市長、そして、竹園西広場公園の隣にベーカリーカフェを出店し、「つくばイクシバ!」の活動にも参加している株式会社クーロンヌジャポンの田島浩太社長からのメッセージをご紹介します。

つくば市長 五十嵐立青氏より

つくば市中央公園

つくば市は、緑豊かなゆとりある街並みや多くの研究機関の立地、48kmにも及ぶペデストリアンデッキや公園などによる歩いて楽しい環境など、他の都市にはないつくばならではの魅力が多くちりばめられている街です。
このような魅力あるつくばで実現した今回の竹園西広場公園のプロジェクトは、つくばの魅力を活かした今後のまちづくりのモデルとなる取組みです。

竹園西広場公園に隣接した国家公務員宿舎跡地には、フージャースコーポレーションがマンションを建設しました。今までの宿舎跡地の開発は、既存樹木をすべて伐採することや隣接地に閉鎖的なデザインにするなど、周囲の環境をあまり考慮しないマンションが建設されていましたが、本プロジェクトでは、フージャースコーポレーションとつくば市が覚書を締結し、既存樹木の保全や公園に開いたマンションデザイン、公園のリニューアル、公園に開かれたカフェの設置など、つくばの魅力を最大限活かした開発を実現しています。
また、公園のリニューアルについても、単なる老朽化した公園のリニューアルのみでなく、「つくばイクシバ!」という活動を通じて、地域の住民が自ら管理をするというパークマネジメントを見据えた先進的な取組みです。これからのまちづくりは市民、事業者、行政が連携することが必要であり、このような地域の住民と一緒になり管理する仕組みを構築することが、今後さらに重要になると考えています。
このような次世代にもつながる魅力ある開発を推進して頂いたフージャースコーポレーションに、改めて感謝いたします。

本プロジェクトは、今後の市民、事業者、行政の連携を見せた新たなモデルであることから、本プロジェクトのみでなく、他の宿舎跡地や公園においても同様の取組みを広げることで、魅力あるまちづくりを推進し、世界の明日が見えるまちつくばを実現したいと思っています。

竹園西広場公園の芝生(2020年9月撮影)

五十嵐 立青(いがらし たつお)
1978年生まれ、つくば市出身。筑波大学大学院博士課程修了(国際政治経済学)。2004年からつくば市議会議員2期。NPO法人つくばアグリチャレンジを設立し障害のあるスタッフが働く農場経営(現在代表退任)や、いがらしコーチングオフィス㈱代表取締役として経営層にコーチングも行う。2016年よりつくば市長。現在2期目。

つくば市公式ウェブサイト|https://www.city.tsukuba.lg.jp/

株式会社クーロンヌジャポン社長 田島浩太氏より

店舗限定のサンドイッチやヴィエノワズリーなど豊富なメニューが揃う(クーロンヌジャポン提供写真)

今回、フージャースさんから出店の話をいただいた時に お断りすることを前提にお聞きすることを決めておりました。それというのも、パン屋出店において確実に言えることは、そこにはパン職人としての技術が必要になり、そもそも拡大志向では考えていない当社は、スタッフの成長を中心として出店計画をたてているので まだ次の出店に関しては時期尚早と思っていたからです。
しかし、マンション建設に伴い、まちづくりや公園を含めた地域活性を目的とするプレゼンテーションを聞いていて、非常に興味深く楽しくついワクワクした気持ちになってしまい、当社としてもそのプロジェクトに協力できないかと感じました。結果として、計画から一年半後と言うこともあり、お受けすることにいたしました。
企業において収益を上げることはもちろん大事ですが、プロとしてその専門性を活かし、地域活性や社会貢献を考え進めて行くことは社会的責任であります。また、スタッフにとっても大きなモチベーションとなります。個人としても仕事を通して自らの存在価値を感じる良い機会になるからです。
近隣の方々の住環境も含めて、より豊かな生活環境をお手伝いできれば非常に嬉しいことであります。そういう思いもあり今回は屋号に地名を入れた「Café Boulangerie Takezono」と致しました。

Cafe Boulangerie Takezonoスタッフ(クーロンヌジャポン提供写真)

田島 浩太(たじま こうた)
高校卒業後、大手リテイルベーカリーでパン職人として働いたのち、1994年10月、26歳で株式会社クーロンヌジャポン設立。1995年、「クーロンヌとりで」(本店)開店。1999年、「クーロンヌもりや」、2003年、「クーロンヌつくば」、2005年、「クーロンヌかしわ」を開店。2008年には、「クーロンヌつくばカスミ」「クーロンヌ龍ヶ崎たつのこ山」「ピッツェリアTatsunoko」を開店。現在、茨城県南地域を中心に、千葉県、栃木県で12店舗を展開している。

パン工房 クーロンヌ | https://www.couronne.co.jp/

【公園のある暮らしインタビュー vol.1】パン工房「クーロンヌ」
人の役に立ち、人を育て、人が活躍できる場をつくるということ

まちと向き合い、人とつながる

「マンション開発」単体ではなく、まちの魅力を最大限に活かしたまちづくりをするためには、官民がいかに連携できるかが重要だと考えています。そして、その空間が人々に使われる場所となるためには、官民だけでなく、そこで暮らす方々との連携が不可欠です。
本プロジェクトでは、竹園西広場公園の隣にできたクーロンヌのベーカリーカフェが、人と人、場所と人をつなぐハブとしての存在になると考えています。

竹園エリアで暮らす人々の日常に、この竹園西広場公園とベーカリーカフェ、そして公園での「つくばイクシバ!」の活動が馴染んでいき、新たなコミュニティが生まれる場となるよう、大切に育てていきたいと思います。