風呂とトイレ

今回は間取りについて、その中でも単身者用の間取りの風呂とトイレについて考えてみたいと思います。単身者用の住宅はだいたい30㎡から40㎡弱が一般的です。その商品開発でとても悩むのが、風呂とトイレを別々にするかです。さらに洗い場を設けるかも考えてしまいます。ほんの2㎡弱のことなのですが、その部分を考え直すと間取りもずっとつくりやすくなるのと、その分キッチンを大きくしたり、収納にあてたりすることが可能になります。

確かに、日本の習慣では湯船につかり洗い場で体を洗う、というのが一般的ですが、現代の都市での小さな間取りで、かつ一人暮らしを想定すると、バスタブでシャワーでもいいのではないかと思うのです。場合によってはバスタブにお湯をためることもできる程度で、バスタブを防水パンがわりに使うのです。

絵を見ながら考えてみましょう。
1.  トイレと風呂をわける。風呂と洗面も別にする。

2. トイレ、洗面、風呂を一緒にする。風呂に洗い場を設けない。

3. もう一つの案は、もう割り切って、バスタブをつくらないという方法もあります。そうすればシャワーブースだけをカーテンやガラス扉で仕切ります。洗濯室を一緒にしてもよいかもしれません。海外ではよくあるケースです。

いかがでしょうか。みなさんは上の絵を見て、どのように考えたでしょうか。

ここで少し日本の家庭の風呂の歴史を振りかえってみましょう。
私たち日本の都市での暮らしに「風呂」が入るようになったのは、昭和30年ごろです。このころの日本は高度経済成長期になり、都市部で働く地方出身のサラリーマンに大量の団地が供給されました。そしてその家に「浴室」がついていたことから、暮らしに「風呂」が入ってきます。しかし当時の団地では「浴室」はあるものの「風呂釜」はオプションだったため、浴室が家にありながらも銭湯に通う家族も少なくありませんでした。その後、1964年、昭和39年までには「風呂釜」が基本設備となり、この年に内風呂の普及率は6割を超えます。たしかにそれは夢のようなことだったでしょう。汗だくで家にもどったお父さんが「ごはんにします。それともお風呂にしますか。」というセリフは決まり文句のように言われたのでしょう。そして答えは「お風呂」です。さっぱりしてビールをまず一杯というのが、絵に描いたような暮らしの理想像です。しかしそれは、家が家族を前提にしてできていた、ということは大事な視点です。また、冷房もない時代に、風呂に入るという生活の中での優先順位も高かったでしょう。しかし、現代はそうした状況とは随分違っています。今回のように一人暮らしの生活を考えると、湯船にお湯をためるのも経済的ではないかもしれません。またアンケートによると1日2回、朝と夜にシャワーを浴びるという人もいます。さらに疲れを取るという意味であれば、ミストサウナのような装置をいれるのもよい方法かもしれません。近くのジムに行って運動してお風呂に入ってくるという人の話も時々聞きます。現代の都市での暮らし、単身者の暮らしのお風呂の間取りについて、みなさんはどのように思いますか。

ご意見をお寄せください。

※お風呂の普及については諸説あります。本文章は株式会社LIXIL「入浴文化の変遷―日本人がお風呂に求めるものとは」、東京ガス株式会社「お風呂とお湯をめぐる話」、一般社団法人ベターリビング「システムバスの歴史」を参考にしています。

バスタブとトイレは一緒でもいい

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バスタブ無しでシャワーだけでもいい

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