日常の見直し　和室について考える

2020.12.11

あなたの家には和室がありますか。そしてその和室は、どのように使っていますか。

戸建住宅や注文住宅では、まだまだ和室のニーズがありますが、マンションでは、「和室は不要」という声や、フローリングにリフォームする事例などから、分譲マンションでは個室を重視して和室のない間取りが、多く販売されるようになってきています。

和室＝畳の部屋というイメージを持つ人も多いと思います。日本の生活に大きく関係していた畳は、昭和の半ば以降、団地やニュータウンの登場、住宅建設ラッシュ、分譲マンション時代の到来などで、需要もどんどんと高まっていきますが、平成以降、マンションでは和室のない間取りも増えてきています。しかし、環境への配慮や健康の点から畳の良さが見直されつつあります。

畳の効能は6つあります。1．原料となるい草は断面がスポンジ状になっていて、多くの空気を含んでいます。そのため、調湿効果があります。2．シックハウスの原因となるホルムアルデヒドや二酸化窒素を吸着し、空気を浄化してくれます。3．四季を通じて優れた断熱効果を発揮し、夏場はサラリと快適に、冬はほのかに温かくなります。4．適度な弾力性があります。5．音や振動を吸収する働きがあります。6．畳表から香るほのかなにおいには、アロマセラピー効果もあります。

このような畳が使われている和室では、生活シーンに合わせた使い方ができるメリットがあります。しかし、新築マンションでの和室は減る一方で、一部屋余分に和室を設ける余裕はありません。そこで和室の有無にかかわらず、床座の生活を考えて、畳を取り入れてはどうでしょうか。

床座の生活では、テーブルなどの背の高い家具を配置せず、背の低いインテリアで揃える為、圧迫感を感じにくい空間が作れます。その上、天井までの距離が遠くなるので、解放感も感じられます。また、来客時には、椅子に座るより人数の制限がありません。他にも、テーブルなどの家具が移動しやすく隅々まで掃除がしやすい。床に寝転がったり、こたつを置いたり、洗濯ものをたたむのにも都合がいい。小さな子どもがいても、安心して床の上で寝かせることや遊ばせることができるなどの特徴があります。
しかし、長時間床に座ることは、疲れたり、デスクワークをするには不向きだったり、床のゴミが目立つこともあります。年齢を重ねると立ち上がる際に、膝への負担も大きくなります。床座の生活をするには、フローリングの上に直接座るより、カーペットや置き畳を敷くことで、座りやすくなります。

その床座の生活に、「和モダン」というスタイルを取り入れてはいかがでしょうか。最近は「和モダン」というキーワードやハッシュタグをよく見聞きします。ハウスメーカーやインテリアコーディネーターが推奨するモダンな和室の写真が、ネットには多く揚げられています。フローリングの部屋に、「縁あり・なし」「長方形・正方形」「カラー畳」など、色やデザインも豊富で高機能な置き畳を敷き、壁紙には漆喰調や塗り壁（土壁）風、竹、和紙、漆などが使われ、照明のカバーにも竹や和紙を利用するなど、日本ならではの素材を使用した和の空間が紹介されています。木材の質感や木目を生かした低い家具での統一や、柔らかな光の演出など、マンションでも取り入れ可能な参考となる事例が多く掲載されています。海外の事例もあり、靴を脱いで床にくつろぐ日本の床座スタイルが、受け入れられつつあるようです。日本在住の外国人が、和室のある賃貸物件を探して入居する例も聞きます。
新型コロナウィルス禍であった今年の夏は、ホームセンターの置き畳が、完売する事態も発生しました。自宅で過ごす時間が増えたことで、くつろげる空間作りに床座を取り入れられたのが要因ではないでしょうか。

例えば、マンションであっても、窓際に収納スペース付きの畳を設置することで、一段高い和のコーナーを設けることができます。一段高くなっていることで、ちょっと腰を掛けたり、ごろんと寝転がったり、畳に座っていてもダイニングの椅子に座っている人との視線の高さが同じになり、気軽に床座と椅子座の生活を取り入れることができます。また畳の下のスペースが、収納不足も解決します。そして窓には雪見障子をはめてみてはどうでしょう。カーテンとは違い、外からの視線を遮り、光をやわらげつつ十分に取り入る上、バルコニーの景色を楽しむこともできます。
このように一段高くなっている小さな和の空間があるだけで、手軽にくつろげる空間の演出ができそうです。床座のくらしと和室・畳を見直してみてはどうでしょうか。皆さんのご意見をお聞かせください。

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