不便は豊か(冷蔵庫編)

前回はキャンプを事例に、「不便であることは豊かである」と書きました。今回は、豊かさを作る不便とは何かをもう少し考えてみましょう。

少し前のことですが、知人が冷蔵庫を捨てたという話が、ちょっとしたニュースになりました。
一人暮らしならばまだしも、彼女には夫と子どもがいます。「どうやって暮らすの?」と、みんな興味津々でした。彼女の答えは至ってシンプルで、「その日に食べるものは、その日に購入する。保存できるものは、保存食にする」と。

実は、冷蔵庫が日本人の生活に入ってきたのは1950年台の後半で、ほんの70年ほど前のことです。それまでは、その日に食べるものは、その日に手に入れて、使いきれなければ腐ってしまうこともしばしばでした。また積雪地帯では、冷蔵庫の代わりに雪室や氷室と言って、冬の間に降った雪で山を作り、藁などを使って囲い、食品を冷蔵保存していました。一般的な冷蔵庫と比較して、室内は温度が安定し、適度な湿度を持っているので、食品が乾燥することもありません。冷蔵庫がないことで、食品は自然が作る優しい温度に守られていたのです。

こうして私たちは、食料の保存という不便さを通して、自然観や季節感を感じるといった豊かさを感じていました。

冷蔵庫の存在は、私たちの生活に欠かせないものとなりました。しかしそれは同時に、食品を通しての生活の基本を失っていく機会にもなりました。どちらがいいとは決して言うことはできません。もし興味があるならば、一度冷蔵庫の中のものを全てなくしてみたらどうでしょうか?

ミニアンケート

冷蔵庫のない生活をしてみたいですか?

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食品を買うときには、数日分まとめて購入していますか?

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