居心地の良いエントランスホール Part.2

【フージャースの建築めぐりvol. 03】エントランホール編

フージャースでは、多くの人の「欲しかった暮らし」を届けたいという想いから、住まいづくりをしてきました。このシリーズでは、普段はあまり意識することがない、建物づくりにおける細部へのこだわりを紹介していきます。

今回はエントランスホール編のPart.2です。
マンションには建物全体の玄関となるエントランスホールがあります。エントランスホールは、アプローチ空間と連続してマンションの品格を表しています。エントランスホール内には、ソファーのあるラウンジがあります。ラウンジは、来客の応対や、待ち合わせ、入居者同士のちょっとした会話の場や、くつろぎの場としての役割があります。また、エントランスホールをデザインする際には、「ヌケと居心地」を意識していると書きました。

今回紹介するのは、小規模物件での「こじんまりしながらも居心地のいいエントランスホール」です。

 

「こじんまりしながらも格好いいエントランスホール」

小規模な物件の場合は、エントランスホールとして広い空間を設けることができません。それでも、「ヌケと居心地」を最大限に考えたデザインを取り入れています。なかでも、エントランスホールから見える景色、光の入り方、壁面の材質、照明の明るさや角度、ソファーやテーブルなどのインテリア、エントランスからエレベーターホールまでの動線など、十分に考えられています。
特に、中庭を設ける際は、ソファーに座ったときに見える植栽の配置や種類にもこだわっています。

デュオヴェール西新
福岡県福岡市早良区 2021年7月竣工

エントランスを入ってから、エレベーターホールまでの間に作られたエントランスラウンジ。

通路を挟んで右側にスリット窓(写真右)を設けたことで、ヌケができ落ち着いた空間となっています。ラウンジ部分の木目の床が、滞在する部分と入り口からエレベーターホールまでの通路部分を、自然と認識できるようになっています。

デュオヴェール大濠公園CLASS
福岡県福岡市中央区 2021年9月竣工

細長く狭く外へのヌケがとれない空間の息苦しさを、天井の吹き抜けとペンダントライトを吹き抜け部分の鏡に映しこむアイデアで、ヌケ感を演出しています。

通路の奥のエレベーターホールには、腰高の小さな窓を設け、外の光を取り入れています。閉じた空間では、わずかでもヌケがあることの意味は大きく、閉塞感をやわらげています。

デュオヴェール仙台上杉
福岡県福岡市中央区 2021年9月竣工

室内でも半屋外空間のように感じるラウンジです。ガラスには桟(さん)がなく、ガラスの存在自体をきれいに消しています。ソファーに座ったときの視線の角度も考えて、ヌケと居心地を作っています。

外部から内部まで斜めのラインを照明で印象付けた一体的なデザイン。斜めのラインが外に貫通しているので、そこにガラスがないかのように感じます。

外から見ると、中からの光のラインと外の光のラインがつながり、中と外の空間を一体的に見せるデザインとなっています。また植栽の後ろの衝立(ついたて)が、ラウンジ空間からの視線と、外からの視線が合わないように工夫しています。

あなたはマンションのエントランスホールで、くつろぐことはありますか。家族との待ち合わせ、ご近所の人とのちょっとした会話の時、たまにはソファーに腰をおろしてみてください。ほっとしたり、いつもと違う風景が見えたり、新しい発見があるかもしれません。

 

シリーズ記事
【フージャースの建築めぐり】
vol. 01植栽編「季節の移ろいを感じる木のある暮らし」
vol. 02エントランスアプローチ編「建物の品格を表す玄関」
vol. 03エントランホール編「居心地の良いエントランスホール」Part.1